【君はどこにでも行ける】

インフォメーション
題名 | 君はどこにでも行ける |
著者 | 堀江貴文 |
出版社 | 徳間書店 |
出版日 | 2016年3月 |
価格 | 1,430円(税込) |
観光バスで銀座の街に乗り付け、〝爆買い〟する中国人観光客を横目で見た時、僕たちが感じる寂しさの正体は何だろう。アジア諸国の発展の中で、気づけば日本はいつの間にか「安い」国になってしまった。日本人がアドバンテージをなくしていく中、どう生きるか、どう未来を描いていくか。刑務所出所後、世界28カ国58都市を訪れて。改めて考える日本と日本人のこれから。装画はヤマザキマリ。特別章として堀江貴文×ヤマザキマリ対談も収録。
引用:徳間書店
ポイント
- 日本人のほとんどは、世界でもトップクラスの豊かな生活を享受できていると感じているかもしれないが、実質の経済レベルでは、アジアの中堅かやや下の国と同じレベルになりつつあると指摘。つまり、日本はかつてない「安売り」時代に入ったというのだ。
- 著者は、訪れた多数の国々で得た経験を交えて、肌で感じてきた世界の変化を具体的なエピソードを通して豊富に紹介している。大きな流れとしては、アメリカ・ヨーロッパのゆるやかな衰退と、アジアの驚異的な経済発展がある。
- 「国境をなくす生き方というのは、君自身のマインドを変えること」と著者はいう。
サマリー
日本はかつてない「安売り」の時代に
本書では、堀江貴文氏が、本書執筆時(2016年)の日本と世界の国々の状況をふまえ、グローバルな視点から日本社会の閉塞感を撃ち破るためのヒントを提示している。
3年間で28ヵ国58都市を巡ってきた著者は、本書を通し、「日本にいようが、やれることなんて、いくらでもあると伝えたい」と語る。
かつて、バブル期に日本がアジア各国でブランド品や洋服、土地、企業を買い叩きまくっていた現象は、完全に逆転し、日本にアジアの観光客が押し寄せている。
日本は、モノもサービスも良くて、品質がいいものが安い。
だからこそ、日本人のほとんどは、世界でもトップクラスの豊かな生活を享受できていると感じているかもしれないが、実質の経済レベルでは、アジアの中堅かやや下の国と同じレベルになりつつあると指摘。
つまり、日本はかつてない「安売り」時代に入ったというのだ。
しかし著者は、この現状を悲観していない。
「グローバルビジネスにおいて、確かなアドバンテージを取れるチャンス」と捉え、今こそ、アジアマネーの呼び込みを成功させて、未来型のグローバルビジネスを構築していく絶好のタイミングであると言い切っている。
堀江氏が訪れた世界の国々の変化
著者は、訪れた多数の国々で得た経験を交えて、肌で感じてきた世界の変化を具体的なエピソードを通して豊富に紹介している。
大きな流れとしては、アメリカ・ヨーロッパのゆるやかな衰退と、アジアの驚異的な経済発展がある。
アジアにおいては、かつてはソニーなどの日本系企業が席巻していた映画産業も、チャイナマネーが台頭し勢力を拡大。
サムスンやヒュンダイなどの企業は、日本のパナソニックを超える世界的企業に成長している。
それに対し、日本の経済成長率はアジア24ヵ国の中で下から2位。
豊かなニッポンを誇っているのは、日本国民だけという事態に陥っているのが現状である。
日本の富裕層はシンガポールに移住し、投資の市場にはチャイナマネーが飛び交い、想像以上にインフラにおけるハイテク導入のスピードも速い。
著者が実際に見て感じたアジアの経済発展は想像を超えるほどであったという。
一方、欧米諸国においては、経済成長から成熟路線へ転向していくため、「未来の日本」を探っていくヒントになると示唆する。
アメリカでは、宇宙事業を民間企業が主導し、スペインは観光のためのリゾート開発をしている。
そして、著者が最も興味を持っている地域が、アフリカ大陸だ。
すでに発展しきった先進国ではなく、これから伸びていく地域にこそ、大きな可能性があるという視点を提示する。
各国のシンクタンクの研究でも明らかになっているように、数十年以上のスパンで見たときに、爆発的成長を遂げるのはアフリカだと断言している。
世界最高レベルの首都・東京
世界はグローバリズムの波により、大きな変化や興隆を遂げている中にあっても、東京のインフラのクオリティと成熟性は、世界一といっても過言ではないと著者はいう。
インフラの良さで顕著なのは、交通のネットワークシステムで、日本ほどの高度なダイヤグラムは、世界に類がない。
そして、特筆すべきは治安の良さで、高いセキュリティレベルと民度の高さは、世界に誇れるものだ。
著者は、強い経済基盤とリソースを持つ首都・東京は世界最先端の成熟都市になると展望している。
また、日本には、福岡や大阪、京都、沖縄など、未来に発展していく可能性が大きい都市が多くあり、本書でそのための具体的な方策も提案している。
さらに、先進国に共通して存在しているのがカジノであり、カジノの周辺施設となるホテルや大手企業の入ったコンベンションセンターを併設すれば、ビジネスチャンスの宝庫になると提案する。
世界最高レベルの都市である東京だからこそ、「規制緩和して各国の富裕層を引きつける有効策を重ねれば、地球で最強の都市になる」と期待しているのだ。