【日本エリートはズレている】

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インフォメーション

題名日本エリートはズレている
著者道上 尚史
出版社KADOKAWA
出版日2017年1月10日
価格880円(税込)

 

 東京しか見ない”グローバルエリート”へ、現役外交官が警鐘を鳴らす!

外国に対し、「日本のマネばかり」「石油が出るだけのラッキーな国」と上から目線を続ける日本の”グローバルエリート”。中国、韓国、そしてドバイでさまざまな外国人と交流を持つ現役外交官が本気で警鐘を鳴らす。

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

引用:KADOKAWA

ポイント

  • ポイント1
  • ポイント2
  • ポイント3

サマリー

はじめに

私はいま中東のドバイで外交官として勤務している。

日本をはるかに超えたグローバルで活発なビジネス社会であり、世界に目の開かれた人達が国籍や周派をこえて協力し、ビジネスや国づくりに懸命に取り組んでいる。

日本にいると否定的な話にばかり接するが、それだけでは相手を大きく見間違える事にもなると感じる。

課題や短所も多いが、今や国際社会で活躍し、存在感が増している。

ドバイは、真摯で勤勉で開明的なリーダーが多い。

中東における私の生の対話や見聞を紹介することで、日本から見えない世界の実態を描きたい。

日本ビジネスは強い?

日本企業の存在感が小さい

ドバイの「世界貿易センター」では、巨大なビジネスイベントが頻繁に行われている。

家電、食品、情報テクノロジー、水・エネルギー技術、不動産、建設資材、医療、美容、自動車部品、鉄道、観光、セキュリティなど、月に4~5回の大規模イベントがあり、各国企業の展示ブースにこれまた各国のバイヤー(中東と欧州が多い)が集まる。

2015年は参加者・来訪者の合計が274万人であった。

私がショックだったのは、これらのビジネスイベントで日本の占める割合が非常に小さかったことだ。

JETRO(日本貿易振興機構)のドバイ事務所と東京本部はビジネス支援に努力している。小さな進歩はあるにせよ、日本と諸外国との間の、民間企業の意欲の圧倒的な差は大きい。官の支援だけではいかんともしがたい。

「日本ビジネスは存在感がないですね。中東で商売をする気持ちがないんですね」との現地の声がある。

総領事に直接言わないが、ドバイに住む日本人を通じ、私の耳にも入ってくる。 

中国企業の方が日本より魅力的、仕事も熱心

中東アラブ圏の某国の経済幹部は次のように語っている。

「中国製品は品質が悪い。それは誰もが知っている。でもそれを承知で、経済界から見て、中国の方が魅力的。ビジネスのサイズ、スピードが異なる。価格競争力があり、ビジネスモデルに柔軟性がある。中国の方が仕事熱心である。」

中国の強みが価格の安さだけでない点に注目したい。

また、次のようにも語る。

「日本が中国の十分の一でも熱意を示してくれればありがたい」

「日本からは年に数度しか連絡がない。しかし、中国はメール、ファックス、文章など一年に千回ほど連絡を交わす」

これは、「中国は勤勉ではない、熱意をもって仕事をしない」という、日本にありがちな固定概念を覆すものである。

「おもてなし」盲点

日本に留学したビジネスマンはこう話す。

「日本で暮らしていて、レストランに行って『これは食べられないので抜いてください』とお願いしても、『申し訳ないができません』と断られることが多かった。マニュアルに従うだけで、柔軟な対応ができない。ある範囲の客を一律に拒否している。UAEは世界中から人が来ているので、いろいろな注文に柔軟に対応するんですけどね」

私たち日本人が注意すべき、良い指摘だと思う。

欧米に菜食主義の人は少なくない。

イスラム教徒は豚やアルコールの成分が少しでも入っていると食せない。

インドも、地方や宗教により食習慣の差が大きく、レストランは多様な注文に応じるという。

ある範囲の客を「もてなさない、対応しない」ラインを自分で引いている。こういう対応は、望ましい「おもてなし」とはいえない。「国際評価」が決まるのはこういうところでの柔軟な対応ではないだろうか。

日本は努力不足?

新興国は、非常な苦心と工夫を重ねている。基礎的な国家制度作りからビジネスの海外進出、外国人人材の活用まで進めている。

「坂の上の雲」を目指して走っていた日本の明治期のような国の基礎作りから、いまの日本を抜き去り、前を行くようなグローバル人材育成まで、ほとんど時を置かずに進められている。

日本が歩んできた19世紀から21世紀まで、ほぼ同時並行で、急速に進んでいるのである。その点は、日本からは見えないし、見えにくい。

日本が、「グローバル人材」「現地食い込み」以外では強いことを物語る。ここさえ補強すればずいぶん違ってくるはずだ。

他国を「色もの、キワもの」とみたがる日本こそが「色もの、キワもの」だと言われないうちに、世界の実態を把握しなおしたいものだ。

おわりに

本書が、読者の皆様にとって日本と世界を考える参考になれば嬉しく思う。

世界が見え、自国の長短をしっかり見すえたエリート集団が、各国で国力増強とビジネス拡大を進めている。彼らは意欲とやりがいを持っているし、社会で尊敬され遇されている。

日本より「愛国心も国際性もある」国が多いと思ったほうがいい。

「どうすればいいか」「改善策は何か?」は、各企業あるいは経済界、教育界、政府等さまざまであろう。

肝心なのはまず、現状に気づくことだ。答えは半ば以上そこにある。

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