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【木曜日の子ども】

読むのにかかる時間 約 4 分

目次

インフォメーション

題名木曜日の子ども
著者重松 清
出版社KADOKAWA
出版日2022年01月21日
価格880円(税込)

登場人物

清水 (しみず)
 主人公。 シングルマザーの女性と結婚したことでできた息子の晴彦と距離感をつかめずに困っている。

上田祐太郎 (うえだゆうたろう)
 木曜日の子ども事件の犯人。最近出所したと噂されている。

沢井(さわい)
 当時、木曜日の子ども事件を追っていた記者。清水に協力する。 

あらすじ

※一部、ネタバレを含みます。

※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。

木曜日の子ども事件

40歳の会社員・清水芳明(以降、清水と記載)は家族で旭ヶ丘に引っ越してきた。

清水は子連れの女性と結婚し、いきなり14歳の息子ができた。

そのため、どう接したら良いかわからず、呼び方も未だに「晴彦くん」だ。

そんな晴彦は、前の学校でいじめを受けており、自殺未遂をしたことをきっかけにこの土地に引っ越してくることになった。

この旭ヶ丘はかつて「木曜日の子ども事件」という凄惨な事件が起こった場所でもある。

事件が起こったのは7年前。

中学校で無差別毒殺事件が起こったのだ。

事件を起こしたのは当時その中学に通っていた男子生徒で、給食の野菜スープに劇薬であるワルキューレを混入させたのだ。

それにより、死亡した生徒は9名、入院した生徒は21名にも及んだ。

そして、そのうちの一人がかつて住んでいた家が、清水一家が引っ越してきた家だということが後々判明する。

ウエダサマ

引っ越して早々、晴彦が他人と間違われた。

担任は晴彦の顔を見て悲鳴を上げた。

晴彦はあの木曜日の子ども事件の犯人・上田祐太郎に似ているらしい。

そのことが原因でまたいじめに遭わないかと心配する清水と妻。

しかし、そのタイミングで上田が出所したという話と、ファイヤーという少年雑誌に「ウエダサマ」からのメッセージが紛れていることがあるという噂が流れる。

晴彦も清水も躍起になってそれを探す。

また、この頃、晴彦は高木という男と仲良くなり、母である香奈恵は安心した様子を見せる。

しかし、高木は中学校に在籍する生徒ではなかった。

当時、上田には共犯がいたとされており、その共犯者が親友の「高木」だった。

結局、高木も上田に裏切られるのだが、清水は、晴彦が事件になんらかの関わりを持とうとしているのではないかと心配する。

上田の再来

清水は当時、事件のルポを書いた沢井と共に調査を始める。

しかし、その調査中に隣人の大谷さんが突然死する。

実は、温厚そうに見えた大谷さんは子供に絶対服従させる虐待親で、娘が毒を盛って殺してしまったのだ。

そして、娘はそのあと「ウエダサマは解き放たれた」と上田に心酔している様子を見せ、晴彦も同じだと言い残して自殺する。

そして、緊迫した様子の沢井から「晴彦がいなくなった」と告げられた。

ウエダサマと晴彦

その後、清水は突如として高木と接触する。

高木は清水に対して「晴彦もワルキューレを持っている。」と挑発する。

そして、ついに上田と接触する。

しかし、どうして高木も上田も、面識のない清水に接触することができたのか。

それは、沢井が裏切り者だったからだ。

沢井はその後、ワルキューレで自殺を図る。

その様子を見ていた高木も「世界を終わらせたのだ。」と言い、その後自殺を図る。

そして、その様子を上田は見ていた。

そこには晴彦の姿もあった。

上田は晴彦にビタミン剤とワルキューレの入った瓶から一粒ずつ錠剤を飲むように指示する。

晴彦にやめるように声をかける清水だったが、晴彦の表情は暗い。

『晴彦は、自分のいじめよりも母親が再婚したことが許せなかったんだ。』と、上田は言った。

清水は晴彦の父親になろうとしていたが、晴彦にとってそれは望んでいないことだったのだ。

そんな晴彦の本当の気持ちを知った清水は晴彦に一歩ずつ近づいていく。

晴彦の手から錠剤がこぼれていき、上田は焦ったようにそれを拾う。

余裕そうだった「王様」は、ただの少年へと戻り、段々と取り乱していく。

そして、最後のワルキューレを飲むこともできないまま、彼は駆けつけた警察によって取り押さえられた。

世界は終わらなかった。ウエダサマは英雄には慣れなかったのだ。

警察に連れられた清水は晴彦とともにうちへ帰る。

「私はお前の父親だ」と、清水は胸を張って思えるようになっていた。

ライターのコメント

感動的な作品が多い印象のある重松清さんだが、この作品は少年犯罪をテーマとしており、非常に重たく、ドキドキさせられる話だった。

同じ作家で、ここまで違うテイストの話を展開できるのかと感服させられた。

作品に没入するあまり、ひやりとした感覚に支配されそうになってしまったほどだ。

特に、「木曜日の子ども」というのはマザーグースの有名な歌から引いた言葉であり、『木曜日の子どもは、遠くに行ってしまう。それを少年は「死」に重ねていた。少年の生年月日を調べてみたら、彼もまた、木曜日に生まれた子どもだったのだ。』

という言葉が、とても強く印象に残った。

物語の最後の「私はお前の父親だ」という台詞からは、親子の話を多く書いている重松さんらしさを感じることができ、ホッとした。

新しい重松清を知りたい方はぜひ読んでいただきたい。

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