【認知症パンデミック】
インフォメーション
題名 | 認知症パンデミック |
著者 | 飯塚 友道 |
出版社 | 筑摩書房(ちくま新書) |
出版日 | 2022年7月5日 |
価格 | 946円(税込) |
コロナ禍による「ステイホーム」が認知症パンデミックを引き起こしている。コロナと、それに伴う過剰な反応による「自発的ロックダウン」が認知症を引き起こしているのだ。
対策としては生活習慣の改善を図り、また早期発見を進めるしかない。薬の服用と運動習慣改善の併用を提案するとともに、認知症の本質に迫り、脳の理想的なあり方を考える。
早期発見のためのAIによる顔写真・脳のスキャン画像による画像診断などの最新研究も紹介。
認知症の蔓延を克服する道を提示する。
引用:筑摩書房
ポイント
- 認知症対策の大原則は「つながりの構築」だが、コロナ禍でつながりは切断され、「ソーシャルディスタンス」によって孤独と不安が増えた。安心感をもたらす「フィジカルディスタンス」を取りつつも「心はつながっている」ことが重要だ。
- 社会的孤立による脳の機能低下は、高齢者だけでなく若い健常者も同様だ。
- 早期発見で認知症進行を先延ばしにできる。散歩や社会交流は予防治療になり生活改善に必須だ。
サマリー
2012年に厚労省は「オレンジプラン」で認知症患者・家族支援、医療・介護サービスをまとめ、認知症ケアパスを作成した。
2025年には「認知症患者が700万人になる危機的状況」と予測されたことから、対策の強化として2015年に認知症の早期診断や対応の実現を盛り込んだ「新オレンジプラン」が新たに作成された。
認知機能低下から深刻な生活障害や行動心理症状(BPSD)を引き起こし、介護が必要になる。
認知症特有の記憶障害に判断力の低下が加わると生活の自立が障害される。
「新オレンジプラン」では「若年性認知症施策強化」も含まれた。
地域医療介護連携で予防対策は機能していたが、コロナパンデミックで状況は一変した。
「つながり」が前提だった「新オレンジプラン」は、コロナの隔離により絶たれた。
地域では新規の認知症患者が増加。
通院中の患者も症状が悪化し、介護者の負担増になった。
全国の介護・訪問・通所サービス、デイケアの利用減少。
全国的システム機能不全が起き、行き場を失う介護難民が出た。