【Chatter(チャッター) 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法】

インフォメーション
| 題名 | Chatter(チャッター) 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法 |
| 著者 | イーサン・クロス 著/鬼澤 忍 訳 |
| 出版社 | 東洋経済新報社 |
| 出版日 | 2022年11月 |
| 価格 | 1,980円(税込) |
全米ベストセラー、世界40ヵ国以上で刊行!
「なぜ昨日はあんなことを言ってしまったのか」「明日のプレゼンはうまくいくだろうか」
私たちはつねに頭のなかで、自分自身と話をしている。
このような声は、過去から学び、未来への計画を立て、自分が何者かを知るために不可欠な、進化がもたらした人類ならではの能力だ。
しかし、ときとして、この「頭の中のひとりごと(チャッター)」は、暴走し、私たちの思考を乗っ取ってしまう。その結果、私たちは「考えすぎ」に陥り、ストレスに飲み込まれ、集中力を失い、正しい判断ができなくなる。
では、どうしたらこの「チャッター」を制御し、より良い人生を送ることができるのだろうか?
世界的な心理学者が提示する、「チャッター」をコントロールするための、誰もが使える26のツール。
各界著名人、各紙誌絶賛!
「新鮮で刺激的な、人間の本質についての考え方を変える画期的な名著。すべての人の必読書だ」
――アンジェラ・ダックワース(『やり抜く力』)
「本書はあなたの人生で最も重要な会話、つまり、自分自身との会話を、根本的に変えるであろう」
――アダム・グラント(『THINK AGAIN』)
「実に説得力のある、価値のある本だ」
――キャロル・ドゥエック(『マインドセット』)
「本書でクロスは、私たちの内なる声がなぜ必要不可欠なのか、そしてどうすればその声を使いこなすことができるのかを明らかにする。緊急性が高く、明晰で、説得力のある本書は、世界が今必要としている、画期的で変革的な書である」
――スーザン・ケイン(『内向型人間の時代』)
「私たちが何者であり、何を考えているのかを気づかせてくれる私たちの内なる声には、なにか深く神秘的で、素晴らしいものが秘められている。クロスはこの声をどのように管理し、コントロールするのかについて、すばらしいアイデアを持っている」
――『ニューヨーカー』
「重要な作品である」
――『ウォール・ストリート・ジャーナル』
「自分自身とのコミュニケーションに、正しい方法や間違った方法はあるのだろうか。内なる声が大きすぎる人に有効なテクニックはあるのだろうか。クロスはすべてではないにしても、これらの疑問に対する答えを見つけた」
――『ガーディアン』
「軽妙さとウィットをもって、脳とその働きや、私たちのしばし執拗なおしゃべりをどうすれば静められるかについて、容易に理解できる作品をものにしている」
――『USAトゥデイ』
「沈黙のうちに私たちが自分自身と交わす会話を通して、ポジティブ思考やネガティブ思考を操る私たちの力を検証し、最高の自分を受け入れるための、私たちがすでにもっている驚くべき力を検証する」
――CNN
アマゾン・ベスト・ノンフィクション・ブック・オブ・2021
引用:東洋経済新報社
ポイント
- 人間は内省を行なうおかげで、問題を解決し、創造することができる。しかし近年、苦痛を感じているときに内省を実行しても、有害無益であることが明らかになっている。それどころか、思考は油断ならないチャッター(頭の中のしゃべり声)を生み出す。
- チャッターを構成するのは「循環するネガティブな思考と感情」である。ストレスがたまる、リスクが高まる、などというときに、内なる声はしばしばチャッターへと変わってしまう。チャッターに打ち勝つ鍵は、自分自身により有効に話しかける方法を見つけることである。
サマリー
内省の研究
著者は、実験心理学者にして神経科学者であり、ミシガン大学に自ら創設した「感情と自制研究所」で「内省の科学」を研究している。
人が自分自身と交わす無言の会話は、その生き方に強い影響を及ぼす。
この会話がどんなもので、それを行なうのはなぜか、それをどう制御すれば、人びとをより幸福に、健康に、生産的にできるか、ということを著者は研究してきた。
著者の父は、著者が幼い頃から、よく「自分自身に問いかけてごらん」と言った。
それは「自分の中に答えを探し求めよ」ということだ。
やがて、父が取り組んでいたのは「内省」という概念だったと気づく。
内省とは「自分自身の思考や感情へ積極的に注意を向けること」。
これを行なうおかげで、想像し、反省し、問題を解決し、創造することができる。
内省のスキルを身につければ、どんな困難と出くわそうともそれを乗り切る助けになるというのが、父の言い分だった。
ただし、まもなくわかったのだが、これは多くの人にとっては完全に間違っていたのである。
「チャッター」の正体
近年、多くの研究によって、苦痛を感じているときに内省を実行しても、有害無益であることが明らかになっている。
それは仕事のパフォーマンスを低下させたり、人間関係に悪影響を及ぼしたり、精神疾患を引き起こしたり、体調悪化のリスクを高めたりすることもある。
要するに、思考によって思考から救われないことがあまりにも多い。
それどころか、思考は油断ならない何かを生み出しているのだ。
それが、チャッター(頭の中のしゃべり声)である。
チャッターを構成するのは「循環するネガティブな思考と感情」だ。
こうした思考や感情は、内省を祝福ではなく呪いに変えてしまう。
たとえば、仕事での失敗や恋人との諍いについて考えると、最後には否定的な感情で頭の中がいっぱいになる。
内省によって「内なるコーチ」に助けを求めようとするが、それに代わって「内なる批判者」に出くわすのだ。
内省の能力が脱線していると気づいたとき、元の軌道に戻すにはどうすればいいか。
それは自分自身と交わす会話にかかっている。
脳の初期状態
21世紀に広く行き渡った文化的真言(マントラ)は、「いまを生きよ」という勧めである。
しかし、人間はいかなるときも「いま」にしがみつくようにはできていない。
脳は、そうするように進化してはいないのだ。
近年、人間の精神の隠れたメカニズムが解明され、注目すべき事態が明らかになった。
すなわち、人は目覚めている時間の3分の1から2分の1のあいだ、いまを生きてはいないのである。
人は「いま、ここ」から「離脱」し、過去の出来事、想像上のシナリオ、その他の内面の黙想へと脳によって導かれる。
こうした傾向は、「初期状態(デフォルト)」という名前がついているほど、きわめて基本的だ。
これは脳が自動的に立ち返る活動である。
あなたも仕事に集中すべきときに、自分の心がふらふらとさまようのに気づいたことがあるはずだ。
人間は絶えず、現在を離れて精神世界へと立ち去り、無意識のうちに「内面」に吸い込まれている。
つまり、人間の生活の多くは「精神的」ということだ。
