【会社売却とバイアウト実務のすべて】

インフォメーション
| 題名 | 会社売却とバイアウト実務のすべて |
| 著者 | 宮﨑淳平 |
| 出版社 | 日本実業出版社 |
| 出版日 | 2018年10月 |
| 価格 | 4,400円(税込) |
中小・ベンチャー企業のオーナー経営者、金融投資家、事業会社のM&A・子会社売却担当者、弁護士、公認会計士、税理士等向けに、会社売却・事業売却のノウハウを丁寧に解説。少しでもよい条件で想定外の損失を被ることなく売却したい担当者必読の一冊 ※本書の内容につきまして、著者サイトで補足の解説を掲載しています。合わせてご参照ください。
引用:日本実業出版社
ポイント
- 本書の1/5程度のページ数は売却側を主人公としたM&Aの小説が占める。これは著者が問題視する、買収側と売却側の間に存在する「情報と実務経験の圧倒的な格差」を埋めたいという想いからだ。買収側の多くはM&Aのプロ、売却側は売却の実務においてはほとんどが素人である。その結果、十分な準備をしないまま交渉に臨み、不利な条件を受け入れざるを得なくなるケースが後を絶たない。だからこそ著者は、売却側こそ最低限の基礎知識を身につけるべきと主張する。これをM&A未経験者でも可能な限り容易く実施可能となるように、小説部分に大きなページが割かれており、読むことであたかも「1度M&Aを経験した」ような感覚で自身のM&Aに臨めるようになることを期待している。
- オーナー経営者がM&Aイグジットを正しく理解することで、企業経営における失敗ケースに陥る可能性を低減できるという。さらに、仮に自社単独での事業継続が困難な場合であっても、事業をよりよい形で存続させられる可能性が高まると著者は指摘しているのだ。
- デューディジェンス(DD)とは、買収側が対象会社に投資する価値があるかどうかを精査するために行う「買収監査」を指す。一般的には買収側が実施するものだが、著者が本書で特に重要性を強調しているのが、「セルサイドDD」だ。
サマリー
音声で聴く
売却型M&Aの「基本的知識」
本書は、非上場企業を対象とした会社売却・事業売却(=売却型M&A)のプロセスと注意点を体系的にまとめた実務書である。
大きな特徴は、専門家のみを対象とした内容ではなく、初めて売却を経験する経営者にとっても価値ある構成となっている点にある。
著者が問題視するのは、買収側と売却側の間に存在する「情報と実務経験の圧倒的な格差」だ。
買収側の多くはM&Aのプロである一方、売却側は会社経営のプロではあっても、売却の実務においてはほとんどが素人である。
その結果、十分な準備をしないまま交渉に臨み、不利な条件を受け入れざるを得なくなるケースが後を絶たない。
だからこそ著者は、売却側こそ最低限の基礎知識を身につけることが不可欠だと強調する。
基礎的知識があってこそ情報格差を縮め、双方にとって「よいM&A」が成立するからだ。
結局のところ、売却型M&Aで最も重要なのは価格交渉のテクニックではなく、「基礎的知識」を備えることであると著者は説いている。
本要約では、基礎的知識を特に身につける必要がある「売却側」の視点を中心に、本書の重要な論点を紹介する。
「M&Aイグジット」の社会的効果
「M&Aイグジット」とは、売却型M&Aを通じて、オーナー経営者が保有株式を現金化することを指す。
著者は、多くの経営者がこのM&Aイグジットについて十分な知識を持たず、適切なタイミングで選択できていない点を大きな課題としている。
オーナー経営者がM&Aイグジットを正しく理解することで、企業経営における失敗ケースに陥る可能性を低減できるという。
さらに、仮に自社単独での事業継続が困難な場合であっても、事業をよりよい形で存続させられる可能性が高まると著者は指摘しているのだ。
著者が考えるM&Aイグジットの社会的効果は、主に次の4点である。
① 事業成功経験を持つ投資家の創出
② さらなる成功を収めうるシリアルアントレプレナー(連続起業家)の誕生
③ 非上場会社株式の流動性向上と資本市場の活性化
④ シナジーによる新たな価値創造と、「さらに強力な買収者」の誕生
著者は、よいM&Aイグジットとは、「創業者」や「経営者」という稀有な社会的資源を、より効果的に再配置する仕組みであると捉えている。
M&Aイグジットが増加することで、経営者という資源が最適な場所に最適な形で投入され、新産業の発展や経済全体に好影響をもたらす可能性があると結論づけている。
M&Aイグジットの決断時期にかかる鉄則
本書では、よりよいM&Aイグジットを実現するためには、「いつ決断するか」が極めて重要であると指摘している。
一般に、次のような条件が重なる局面では、高額なM&Aが成立しやすいとされる。
