【マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ】

インフォメーション
| 題名 | マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ |
| 著者 | 西口一希 |
| 出版社 | 日本実業出版社 |
| 出版日 | 2023年2月 |
| 価格 | 1,650円(税込) |
P&G、ロート製薬、ロクシタン、スマートニュースなどで多くの実績を出し、ベストセラー『実践 顧客起点マーケティング』でも知られる著者が、「学ぶ」と「できる」の壁を越えるべく、「WHOとWHATによるシンプルな原則」を解き明かします。
引用:日本実業出版社
ポイント
- 筆者が考えるマーケティングの定義は次の通りだ。お客さまのニーズを洞察し、お客さまが価値を見いだすプロダクトを生みだすこと。さらに、その価値を高め続けて継続的な収益を生みだし、その収益を再投資して新たな価値をつくり続けること。
- 大事なことは、「どんなお客さま(WHO)」に、「どんなプロダクト(WHAT)」を届けて「価値」をつくるのかという、『WHOとWHATの組み合わせ』だ。
- マーケティングとは、お客さま(WHO)とプロダクト(WHAT)の間の「価値づくり」ともいえる。そして、マーケティングの目的は、価値を作り続けていくことなのだ。
サマリー
「マーケティングの樹海」を抜けだすために
「マーケティング」の世界は、まるで鬱蒼(うっそう)と樹々が広がり続ける「樹海」だ。
この世界では常に新しい手法やテクノロジーが生まれ続けており、「〇〇マーケティング」や「〇〇戦略」「〇〇理論」など、さまざまな手法があふれかえっている。
さらにビジネスをめぐる環境は、刻々と変化し続け、マーケティングのツールや方法論も絡み合って樹木や雑草となり、その先の道筋を見えなくしていく。
周到な用意をしないまま一度そこに足を踏み入れれば、出口がどこにあるのか、ゴールが何だったのかも分からなくなり、自分がいる場所さえ見失い、さまよい続けることになってしまうのだ。
マーケティングを「学ぶ」のと、実践「できる」の間には、大きな壁がある。
その壁を超えられず右往左往する、これが「マーケティングの樹海」をさまよっている状態だ。
「マーケティングの樹海」を抜けだすためにもっとも大切なのは、マーケティングをふくめた「ビジネスの原則」を理解しておくことだ。
「ビジネスの原則」と「マーケティング」の関係について構造的に理解し、「ビジネスを向上させるためには、お客さまに何が必要なのか」を学ぶことで「マーケティングの樹海」を抜けだすのだ。
本書は、「マーケティングの樹海」を抜けだすためのコンパスと地図をまとめる目的で著した。
専門用語は極力使わず、シンプルに解説したので、ビジネスとキャリアの継続的な成長に役立ててほしい。
マーケティングとは「価値づくり」
筆者が考えるマーケティングの定義は次の通りだ。
お客さまのニーズを洞察し、お客さまが価値を見いだすプロダクトを生みだすこと。
さらに、その価値を高め続けて継続的な収益を生みだし、その収益を再投資して新たな価値をつくり続けること。
マーケティングとは「経営」に直結しているのだ。
大事なことは、「どんなお客さま(WHO)」に、「どんなプロダクト(WHAT)」を届けて「価値」をつくるのかという、『WHOとWHATの組み合わせ』だ。
著者は、価値とは「便益」と「独自性」の両方を併せ持つものであると定義している。
便益とは、「選ぶ理由、買う理由」、独自性とは、「ほかの選択肢、競合、代替品を選ばない、買わない理由」である。
では、「価値」はどうやってつくればいいのだろうか?
結論からいうと、価値というのは企業がつくりだすものではなく、お客さまが見いだすものなのだ。
どんなプロダクトでもサービスでも、お客さま自身が「これは私にとってよいものだ(便益性がある)」、そして「ほかでは手に入らない(独自性がある)」と思わなければ、価値にはならない。
価値を感じる具体的なお客さまがいて、はじめてその価値が生ずるのだ。
つまり、マーケティングとは、お客さま(WHO)とプロダクト(WHAT)の間の「価値づくり」ともいえる。
そして、マーケティングの目的は、価値を作り続けていくことなのだ。
価値は「お客さま」と向き合うことでわかる
プロダクトの価値を高めるためには、「お客さまは誰か(WHO)」 「そのお客さまが見いだしている便益と独自性は何か(WHAT)」という組み合わせをしっかり把握することだ。
「価値」を生みだすために、著者がもっとも大切にしているのは、「N1分析」と呼んでいる、具体的なお客さまの理解である。
具体的な1人のお客さま(N1 )に対するインタビューや店頭における購買行動の観察等を通して、購買行動の裏に隠れた深層心理を理解し、ビジネスを成長させる便益と独自性のアイデアを見つけ出していくのだ。
大事なのは、平均値でもない、ペルソナ(架空の人物)でもない、具体的な1人を徹底的に理解するということだ。
誰か1人がお金を払ってでも手に入れたいと思っている価値に対して、同じように価値を感じる人は何千人、何万人、何十万人、何百万人といるのだ。
これまで30数年間マーケティングに関わってきて、1人の分析結果から見つけだした便益と独自性がほかの人にまったく刺さらなかったという事例は見たことがない。
1人が価値を感じるものに対しては、必ず同じように反応を示す人が多くいる。
重要なのは、お客様に価値を生む可能性のある便益と独自性を考え続けることなのだ。
