【人生オークション 】
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インフォメーション
題名 | 人生オークション |
著者 | 原田 ひ香 |
出版社 | 講談社 |
出版日 | 2014年2月 |
価格 | 671円(税込) |
登場人物
・瑞希
主人公。 就職浪人。自己分析や就職の話に疑問を感じている。
・りり子
瑞希の叔母。あることがきっかけで逮捕されたことがある。
・白石さん
りり子の恋人だった男性。
あらすじ
※一部、ネタバレを含みます。
※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。
叔母・りり子
叔母のりり子が捕まった。
理由は不倫相手の奥さんへの傷害罪。
瑞希は、母に「どうせ暇なんだから、様子を見てこい」と言われ、ひとりぼっちの生活を始めたりり子の元を尋ねる。
断捨離計画
りり子の家には大量のものがあった。
そのほとんどが、今はもう着ていない服やブランドもののバッグ。
不倫騒動の結果、離婚して働けなくなった叔母のために、瑞希はブランド品などの荷物をオークションで売り捌くことを提案する。
オークションの結果
オークションに物を出品すると、色んな発見があった。
予想より売れなかった物、逆に高値がついた物…不要な物を手放し、りり子の元には本当に必要な物だけが残った。
そして、作業を通じて、二人はお互いが似たもの同士であることに気づく。
瑞希の悩み
瑞希は就活の中で特に「自己分析」につまづいていた。
他の就活生が易々とクリアしていくその過程にくじけてしまった瑞希を、りり子は見抜いていた。
社会から見たら落ちこぼれかもしれない2人が、オークションを通して、自分の存在意義を考えるようになり社会的な自立をしていく。
不倫騒動の真実
ある時、瑞希はりり子にどうして不倫相手の奥さんを刺してしまったのかを尋ねる。
するとりり子は「刺してないよ」と言う。
瑞希が問い詰めると、包丁を持ってきていたのは相手の奥さんで、怪我をしたのはりり子の方だったことが判明する。
なぜ本当のことを言わなかったのか、と瑞希はりり子に言うと、「被害届を出されちゃったから仕方ない」とつぶやく。
二人のその後
りり子が無実だと知った瑞希はりり子を怒り、りり子の代わりにその不倫相手に「叔母は大丈夫」と伝えにいく。
すっきりした二人はそれぞれ、新たな生活を送り始める。
りり子はパートを始め、瑞希も就活を開始し、再スタートを切るのだった。
ライターのコメント
一件、ただの断捨離の話かと思ったが、二人の意外な共通点や前に向かって進んでいくラストにはホッとするものがあった。
本作は2つの短編からなり、私がおすすめするのはもう一つのお話、『あめよび』である。
眼鏡屋で働く美子はハガキ職人の彼氏から「諱(いみな)」という言葉を聞き、なぜかそれに執着する。
しかし、「諱(いみな)」にしろ、結婚にしろ、彼氏の態度は曖昧で…といった、「結婚を迫られた男女の恋愛あるある」が描かれているのだが、ラストが切なく、色々な形の恋愛があると思った(気になる方は是非読んでいただきたい)。
「諱(いみな)」というのは初めて聞いた言葉だったが、歴史的背景などの考察を見て、なるほどと考えさせられた。
どちらのお話も短めで読みやすいため、サクッと物語を読みたい方におすすめの一冊である。