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【星を編む】

読むのに必要な時間 約 5 分

目次

インフォメーション

題名星を編む
著者凪良ゆう
出版社講談社
出版日2023年11月08日
価格1,760円(税込)

登場人物

・北原
 高校教師。

・片山敦
 スノーボードの選手。明日見の彼氏。

・明日見菜々
 総合病院の一人娘。

・北原結
 明日見の子供。

あらすじ

※一部、ネタバレを含みます。

※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。

※『汝、星のごとく』の続編になります

総合病院の一人娘

北原は、夜遅くまで授業で使うプリントを作り、コンビニエンスストアへ出かけた。

公園の前を通りかかったとき、静かな夜の空気を乱すように、硬いものでがりがりと道を削るような音が聞こえる。

立ち止まって音のする方を眺めていると、通りの向こうから警官が自転車に乗ってやってきた。

近所の人からうるさいと通報がきているようだ。

敦は素直にスケートボードを脇に抱え、すみませんと頭を下げた。

近くのベンチから明日見が走り寄る。

どう見ても高校生だろう明日見に警官が目を向ける。

もう十二時近い深夜。

明日見はうつむき、敦はやばいという顔をしている。

「この子たちの高校の教師です。試合が近いので練習をしていました」と北原は助けに入った。

本当に北原は、明日見の高校の教師だった。

担当はしていないが、市内で名の通った明日見総合病院の一人娘として、校内でも目立つ存在であるため知っていた。

カップラーメン

化学準備室で昼食の支度をしていると、昨夜のお礼にと明日見がやってきた。

ちょうど湯が沸いたので、カップラーメンに湯を注ぎながら、北原はどういたしましてと答えた。

興味深そうにカップラーメンのことを訪ねてくるので、明日見にもカップラーメンを取り出すと、ぱっと顔を明るくした。

その日以来、明日見はたびたび化学準備室を訪ねて、カップラーメンを食べる。

高校生の妊娠

明日見がゆっくりと身体を前に倒していく。

くぐもった声が洩れる。

様子がおかしい。

北原は病院へ連れて行くと、明日見は妊娠していた。

中絶できない時期に入っている。

妊娠のことは両親も知らなければ、敦も知らない。

敦は、スノーボードの選手で世界ランキングも上がってきて、拠点を海外に移し競技に集中する。

そんな一番大事な時期に妊娠のことは言えるはずもなく、別れるつもりだと明日見は言う。

明日見が足繁く化学準備室に通ってきていたのは、つわりでカップラーメンしか食べることができず、生命維持という切羽詰まった事情があったのだ。

ひとりで産んで育てる

明日見の制服のウエストが留まらなくなった。

これ以上はごまかせないと、敦の名前は出さず、両親に打ち明けた。

子供は産ませないと言われ、産まれてくる子が殺されてしまうと思った明日見は、最後にもう一度、敦に会ってから家を出てひとりで産んで育てると言う。

明日見と敦の待ち合わせ場所に北原も向かう。

守るもの

明日見が小さく呻く。

ロングスカートから見えている明日見の足下に薄赤い水たまりができていく。

明日見はきつく唇を噛み締め、みるみる顔が青ざめていく。

もう考えている余裕はないと思った北原が、敦に明日見が妊娠していることを告げる。

敦がうろたえていると、通りがかりの若い男性グループが「あれ、スノボの片山敦じゃね?」とスマートフォンを出して敦に向ける。

敦が明日見に差し出した手を怯えたように引っ込めた。

明日見も北原も否応なくわかってしまった。

敦の背中には翼がある。

けれどその翼はまだ若く、脆弱で、敦ひとりを羽ばたかせるだけで精一杯なのだと。

明日見と生まれてくる子供を抱えて舞い上がることは、まだできないのだと。

小さな小さな声で「助けてあげて」と北原だけに聞こえるように明日見は訴えた。

「ぼくの子供です」と北原が告げると、敦は目を見開く。

裏切られたという怒りの中に、いいや、もしかしてという疑念が敦をこの場に縛りつけている。

これ以上人が集まる前に、騒ぎが大きくなる前に、早く。「…いいから、早く消えて」明日見と敦の視線が絡む。

敦がよろめいたように一歩下がった。

また一歩下がる。

小さな声で、ごめん、と聞こえたのは空耳だろうか。

人生のレールから外れる

北原は分娩室の前でぐったりとしていると、明日見の父親と母親がやって来た。

「生まれました。女の子です」という報告に、父親は怒りと失望が顔に広がったのを見てしまった。

無事に生まれてくれたという安堵も歓びもなく、逆に生まれてこなければよかったというような。

母親は転げるように分娩室へ入っていく。

北原は明日見が赤ちゃんと離れたくないと言っていること、落ち着いたら話を聞いてあげてほしいことを父親に伝えると、子供はなるべく早く、どこか裕福な家庭と特別養子縁組をし、明日見には子供は育ち切らずに死んだと伝えると父親は言う。

明日見の身に起こった事実を、両親に説明しなくてはいけない。

しかしその事実を説明して一体誰が救われるのか。

北原の手には、明日見と子供が共に歩める救いのカードが一枚ある。

「ぼくが子供の父親です」そのカードを切った瞬間、北原はこれまでの人生のレールから外れた。

まだ見ぬ未来

北原は高校を退職し、愛媛の教員採用試験を受け、島の高校に勤めはじめた。

明日見はまだ結が生きていることを知らない。

明日見は突然、家出をし行方も分からず、連絡を取る手段もない。

視線を落とし、眠る結の姿を見る北原。

結を守りたいという想いと、結に支えられているという想い。

「結」明日見と結をつなぐ細い糸の名前でもある。

この糸をいつか明日見へと手渡せるのか。

北原はまだ見ぬ未来へと想いを馳せる。

ライターのコメント

本屋大賞を受賞した『汝、星のごとく』の続編。

暁海と北原のその後も気になっていたし、なぜ北原はひとりで結を育てているのかも気になっていたので、疑問に思っていた過去と未来が本書ですべて明らかにされた。

三部に分かれて綴られている中の「春に翔ぶ」にスポットを当てて、あらすじを書かせて頂きました。

凪良ゆうさんの言葉には、光と影の両方の感情が見え隠れしている。そんな言葉を本書を読んでたくさん拾い集めて頂きたいです。

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