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【古本食堂】

読むのにかかる時間 約 4 分

目次

インフォメーション

題名古本食堂
著者原田ひ香
出版社角川春樹事務所
出版日2022年3月15日
価格1,760円(税込)

登場人物

・鷹島 珊瑚
 兄・慈郎から古書店を引き継ぐ。北海道から引っ越す。

・鷹島 慈郎
 珊瑚の兄。古書店を経営。

・鷹島 美希喜
 珊瑚が大祖母。古書店を手伝う。

・東山
 北海道にいたときの珊瑚の想い人。

あらすじ

※一部、ネタバレを含みます。

※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。

初めての古書店

よくわからない、古書店のことなんて、と珊瑚は思う。

9時に店を開けて、一時間ほど座っていたけど、誰も来ない。

慈郎が亡くなり、古書店を開いていたビルが慈郎の持ち物だということが、遺言状で分かった。

一階が「鷹島古書店」、二階三階は翻訳書を主に出版している「辻堂出版」に貸している。

慈郎は六歳年下の珊瑚を小さな頃からとてもかわいがっていて、珊瑚の将来を深く案じていたので、ビルを含む財産のほとんどを珊瑚に残した。

古書店の調査

美希喜の母は、リアリストだ。

珊瑚が祖父と祖母の介護を文句も言わずしてくれたから、美希喜の母は感謝している。

財産分与にも全く異論はない。

しかし、独身の珊瑚が結婚したり、騙されたりして、ビルや相続したお金が他の人に渡るのを恐れている。

美希喜にお店の様子を見てくること、珊瑚が今後あの店をどうするつもりなのかを聞きに行くように指示する。

美希喜は何度か古書店を訪れ、慈郎との繋がりがあった。

恩義もある。

美希喜の通う大学を勧めてくれたのも慈郎だ。

美希喜も気にならないわけがなかった。

古書店の行く末

「ごめんください」とガラスの引き戸をおそるおそる開ける美希喜。

珊瑚は美希喜の顔を見るとすぐに気がついて、ぱあっと顔を輝かせた。

レジのことなど何もわからずてんてこ舞いしていた珊瑚に、美希喜がいろいろと教えることになった。

結局、珊瑚には古書店を今後どうしていくかは聞けなかった。

しかし美希喜は気がついていた。

慈郎が店をやっていた時にあったものがなくなっていることに。

ある意味、古書店に一番大切な物がなかった。

故意でなければ決してなくなるはずのないもの…。

それは「古書高価買取」の看板。

外したのは珊瑚なのか。

そこには、どういう気持ちを表しているのか…。

東山の突然の訪問

珊瑚が「鷹島古書店」を慈郎から受け継いで、店を開けてから半年以上が経った。

美希喜も同じだけの経験を積んだことになる。

店の引き戸が開く音がして、珊瑚は顔をあげる。

「お久しぶりです」珊瑚の声は震えていた。

目の前には東山が立っていた。

そこに美希喜もやって来て、珊瑚は東山を紹介する。

“北海道のお友達”と珊瑚は簡単に紹介したけれど、美希喜はなんとなくわかった。

すごく素敵な人で、東山が珊瑚を見る目も、珊瑚が東山を見る目も特別だった。

美希喜の進路

美希喜の大学の授業が終わったら、珊瑚と店番を交代して東山と会うことになっている。

美希喜を待っている間に、珊瑚が掃除をしているとレジの上の方にかけっぱなしになっている『玉能小櫛』の本が入っている額を下ろして掃除する。

そこに「鷹島美希喜様へ」と書かれていることに気付いた。

慈郎の字だ。

珊瑚は美希喜にそれを渡すと、東山の待ち合わせに向かった。

慈郎と美希喜は、この額についても本居宣長についても、ましてや『玉の小櫛』についても話したことはなかった。

どうして慈郎は美希喜にあげることにしたのだろう。

店の引き戸が開いて、美希喜の大学院の指導者でもある後藤田先生が入ってきた。

美希喜の進路について話し合いたいとのことだ。

すると『玉の小櫛』に気付く。

この本は慈郎が古本屋として生きる決心をしたきっかけの本だと教えてもらう。

ここに美希喜の名前を宛てたのは、慈郎の気持ちではないだろうか。

美希喜の負担にならないように、ほんのわずかな自分の気持ちをここに残したのではないだろうか、

この店を継ぐという道がある、と。

覚悟

珊瑚が戻ってきたのは閉店の八時少し前だった。

東山と珊瑚が付き合うことになったと報告を受ける。

美希喜はさまざまな可能性が頭の中をよぎって、胸がドキドキした。

店を閉めて北海道に帰ってしまわないだろうか。

しかし珊瑚は、まだここにいたいし、店のこともちゃんとしたいと嬉しそうに言った。

美希喜は珊瑚に、この店をやりたいことを伝える。

珊瑚は椅子から立ち上がって美希喜の手をとり「ありがとう」とそのまま手遊びするかのように揺らした。

「そうと決まったら、あれを出さないといけないわね」と珊瑚は奥に入って、手に細長いものを持って出てきた。

それは「古書高価買取」の看板だった。

それは覚悟だった。

これから二人で古書店業をやっていく、という。

ライターのコメント

本書は、本が好きな方に特におすすめしたい。

いろんな作品が登場して、本選びの幅も広がる。

また、本に対して愛情がある主人公に心を撃たれる。

その人に相応しい本を選ぶことができるってなんて素敵なんだろうと思った。

この世には読み切れないほどの本がたくさんあるけれど、その中で本との出会いを一期一会のように綴る文章がとても素敵だ。

「人生に必要な小説や本って、向こうからやってくるのかもしれませんね」

これからもたくさんの本に出会っていきたいと思う一冊だ。

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