【新 管理職1年目の教科書―外資系マネジャーが必ず成果を上げる36のルール】
インフォメーション
題名 | 新 管理職1年目の教科書―外資系マネジャーが必ず成果を上げる36のルール |
著者 | 櫻田 毅 |
出版社 | 東洋経済新報社 |
出版日 | 2023年4月14日 |
価格 | 1,760円(税込) |
ポイント
- ビジネス戦略型のリストラへの移行
- 「日本人の2倍働いて3倍稼ぐ」
- 「マネジメントの背骨」と「6つの力」
サマリー
はじめに
本書は、2017年12月に出版した『管理職1年目の教科書』に大きく加筆修正を行った新版である。
旧版は出版と同時に大きな反響を呼び、おかげさまで重版を重ねながらロングセラーとして多くの方に読んでいただいた。
旧版の出版以降も、ビジネス環境は大きく変わり続けている。
今回の新版改定の目的は、時代と関係なくチーム・マネジメントの軸として持つべき考え方を維持しつつも、初めて管理職となった皆さんが、変わりゆく環境に、一層適応できるような仕事術をお届けすることである。
雇用環境の大きな変化
ジョブ型雇用システムの導入
いま起きている典型的な環境変化はAIやビックデータ、IoTやロボット化などに代表される、第4次産業革命と呼ばれる技術革新と社会変化である。
企業も生き残りをかけて事業の新陳代謝を進め、競争力を維持するための人材戦略も変わりつつある。
それを象徴するのが、日立製作所や富士通などに代表されるジョブ型雇用システムの導入である。
職種と役職ごとにジョブ・ディスクリプション(職務記述書)で仕事の内容と報酬額を定義し、その要件に合致する能力を有する人をそのポストに配置する仕組みである。
原則として本人の同意なしに他職種への移動はなく、長らく日本企業に根付いていた、ジョブ・ローテーションで幅広い能力を付けていくメンバーシップ型の雇用システムからの大転換となっている。
黒字リストラ
もう一つの変化が、年功序列制度で給与水準が高くなったベテラン社員を対象とした財務体質改善型のリストラから、年齢に関係なく今後の事業に対応する能力の有無を基準としたビジネス戦略型のリストラへの移行である。
黒字の状態でも断行することから「黒字リストラ」と呼ばれている。
事業の新陳代謝を行う企業にとって必要な人材を確保するため、報酬体系も、年齢ではなく、仕事ができるかどうかが基準になる。
このような雇用環境の変化に加えて、働き方改革やワークライフバランスが叫ばれ続け、さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークやオンライン会議など、私たちの仕事の形態も大きく変わった。
管理職1年目が学ぶべきこと
2倍働いて3倍稼ぐ外資系企業のビジネスパーソンたち
私が初めて管理職になったのは36歳のとき、日興證券(当時)で課長として10人の部下を持ったときである。
造船会社のエンジニアから転職して6年目のこと、その時の緊張感はいまでも鮮明に覚えている。
幸いにも、部下、同僚、上司に支えられながら、異動はあっても管理職としての道を歩み続けることができた。
その後、米国の資産運用会社ラッセル・インベストメントの日本法人に移ってからは、資産運用コンサルティング部長、執行役COO(最高執行責任者)として米国人社長・CEO(最高経営責任者)とともに経営に携わる。
このようなキャリアの中で、私は、日本企業、外資系企業で成果を出し続ける、トップクラスのビジネスパーソンの人たちと働く機会を持つことになる。
特に印象深かったのは、ジョブ型雇用のシステムで高い成果を求められる、日本企業の将来を先取りしたかのような米国企業での経験である。
「日本人の2倍働いて3倍稼ぐ」と言われる彼らの仕事ぶりは、私の成長に大きな影響を与えてくれた。
もちろん、2倍働くというのは倍の時間働くという意味ではなく、同じ時間でも倍の成果を出す高い生産性という意味である。