【決断と再生:中小企業をどん底から救った男たち】

インフォメーション
題名 | 決断と再生:中小企業をどん底から救った男たち |
著者 | 安田龍平 櫻田登紀子 編著 |
出版社 | 同友館 |
出版日 | 2010年02月 |
価格 | 1,870円(税込) |
経営危機に陥った企業をいかに再生させたか? 成功とはいえない事例も含め、社長とそこに関わったコンサルタントや金融機関等の支援者たちの姿をリアルに描き、企業再生に必要なものを問いかける。企業再生手法などもコラムで紹介、解説する。
引用:同友館
ポイント
- 株式会社丸若冷凍の代表取締役社長・石黒浩治は、昭和40年創業以来ここで信頼をモットーに、安心安全な水産物を取り扱ってきたが、関連水産会社2社が倒産してしまい、計7億円の保証債務を抱えることになった。
- 再生計画の目的は、丸若冷凍の本業が生んでいる利益を守るために、保証債務をなくすことである。そのための方法として、新会社を設立し、山陰合同銀行の新たな融資で丸若冷蔵の保証債務以外の事業用資産を買り、その譲渡金で丸若冷凍を特別清算するというものだ。
- 事業譲渡とは、会社の営業の全部または一部をほかの会社に譲渡するということである。一方、特別清算は、債務超過の状態にある解散した株式会社が、迅速かつ公平な清算をするために、申立債務者の申立てにより、裁判所の監視の下において行われる法的清算手続きである。
サマリー
長靴社長の本気:鮮魚卸・事業譲渡と特別清算事例
◆企業プロフィール
社名 株式会社丸若冷凍(現株式会社友新)
業種 冷凍鮮魚製造業、鮮魚卸、倉庫業
本社 鳥取県境港市
資本金 4500万円
従業員数 10名 役員6名
創業 昭和40年
倒産の危機
鳥取県境港市は、弓浜半島の北端に位置し、三方が海に囲まれている自然豊かな町である。
株式会社丸若冷凍の代表取締役社長・石黒浩治は、昭和40年創業以来ここで信頼をモットーに、安心安全な水産物を取り扱ってきた。
しかし、平成4年以降の食生活の変化から、生鮮魚介類の消費量減少、輸入品や冷凍食品の増加、漁獲量の減少などにより売上は減少した。
そんな中、平成9年に石黒の母方の親戚が経営する関連水産会社2社が倒産してしまい、丸若冷凍は計7億円の保証債務を抱えることになったのだ。
石黒浩治は丸若冷凍の2代目社長である。
平成13年、社長に就任し、父親が背負った保証債務を引き継ぎ再生しようと奮闘したが、毎月数百万円に上る保証債務の支払いは、働いても働いても悪化の一途をたどるだけであった。
石黒に「倒産」の文字がチラつく。