【日本を腐らせたいかがわしい人々】

インフォメーション
題名 | 日本を腐らせたいかがわしい人々 |
著者 | 適菜 収 |
出版社 | ワニブックス |
出版日 | 2022年12月 |
価格 | 869円(税込) |
元総理大臣が銃撃されるという衝撃的な事件から約半年。
安倍氏は静かに見送られるのかと思いきや、「安倍的なもの」にすり寄っていた人々の様子がどうもおかしい。
信じてきたものとカルトのつながりが注目されるや否や、この問題を「信教の自由」にすり替えたり、ありもしない話を創作したり、「静かに見送りたい」と言いながら巨額の税金を使う「国葬」を大声で支持したり……。
この本では、今もテレビ・SNSで野放しにされている「論客」たちを丁寧に観察します。
読者の皆さまが、こうした連中に騙されないための転ばぬ先の杖となる一冊です。
引用:ワニブックス
ポイント
- 銃撃事件の後に、次々と明らかになった自民党の実態。安倍元首相とその周辺と統一教会の関係。著者は、このような大きな事件が起きたときに、「人間がどう振る舞うのか」という点を、繰り返し書いてきた。
- 著者は、2022年の夏を振り返り綴る。「安倍とカルトに関する様々な事実が暴き出された結果、てんぱって支離滅裂なことを言い出す人、黙りこくる人、論点をずらす人、話を逸らす人‥‥。要するに、「いかがわしい人たち」の正体が一気にあぶり出された。」
- 本書では、「いかがわしい政治家」として12名、「いかがわしい論客」として6名の名前を挙げ、その人たちが実際に発言したこと、またその背景にあった出来事や関連する報道などを取り上げ、その「いかがわしさ」に言及している。
サマリー
「いかがわしい人たち」について
本書は、2022年7月8日、当時の安倍晋三首相が、近鉄大和西大寺駅周辺で選挙の街頭演説中に、山上徹也に銃撃されて殺害された事件から約半年後に発行された。
著者は、本書の冒頭で、殺人は断じて許されることではなく、撃たれて亡くなったから美化したり英雄に仕立て上げてはならないと前置きした上で、鋭く指摘する。
「生物としての安倍は肉体を失ったが、安倍が体現していたもの、この社会の病理は、今もこの日本社会に変わらず生き続けている。
その象徴が「安倍的なもの」を引き継いで首相になった岸田文雄が、国会を通さずに決行した2022年9月27日の国葬である。
「法的根拠に基づかず、議会も通さずに、国民の六割が反対を唱える中、閣議決定だけで強行した事実は、議会主義を根底から覆す愚行である。」
そして、社会が病んでいる限り、「安倍的なもの」が除去されることはないと主張する。
銃撃事件の後に、次々と明らかになった自民党の実態。
安倍元首相とその周辺と統一教会の関係。
著者は、このような大きな事件が起きたときに、「人間がどう振る舞うのか」という点を、繰り返し書いてきた。
本書は、著者の視点から見る、日本を腐らせた「いかがわしい人々」についての記録である。
「いかがわしい人たち」があぶり出された日
スペインの哲学者ホセ・オルテガ・イ・ガセットが著書『大衆の反逆』の中で定義した「大衆」像を通し、著者はその定義を端的に次のように表現する。
「隣の人と自分の価値観が似ていることに安心感を覚える類の人である。確固とした自分の考えがなく、世間体ばかりを気にしている。政治家はこういう人たちをプロパガンダのターゲットにする。」
そして、冒頭で述べた統一協会の病理も同じだと鋭く指摘している。
著者からみれば、政治家が票を集めるために、なりふり構わず利用する行為に迎合した保守系メディアは、安倍元首相とカルトのつながりを「政治と宗教」や「信教の自由」の問題にすり替えたり、妄想を膨らませたり、統一教会の問題を矮小化して乗り越えようとしているように見える。
そして、「大衆」とよばれる現実を直視できない人々が、いかがわしいメディアに寄生するいかがわしい「評論家」が流すいかかがわしい情報に飛びつく。
さらに、「大衆」の一部の人が、メディアが垂れ流す思考のテンプレートに乗り、同じ類のデマをツイートで垂れ流すという構図があることを伝えているのだ。
著者は、安倍元首相の行動は、国家、社会、法の破壊に他ならないと痛烈に批判する。
そして2022年の夏を振り返り綴る。
「安倍とカルトに関する様々な事実が暴き出された結果、てんぱって支離滅裂なことを言い出す人、黙りこくる人、論点をずらす人、話を逸らす人‥‥。要するに、「いかがわしい人たち」の正体が一気にあぶり出された。」
そして、人間の本質は危機のときこそ暴かれること、そして、その危機に立ち向かうためには、人間の本質を知ることが必要であると主張しているのだ。
思考回路がおかしい人々
本書では、第3章で「いかがわしい政治家」、第4章で「いかがわしい論客」という章立てで、著者の視点で「いかがわしい行動」を具体的に紹介しながら、鋭く意見を述べている。
その前の第2章では、「思考回路がおかしい人々」というタイトルで、著者から見れば理解不能な「バカ」としか言えない、以下のような人々の間違いを、具体的な事実を根拠に指摘する。
・事件の原因や背景がわからないうちに、無責任なことを言い出す
・大手メディアが事件の背景を「山上の思い込みによるもの」とする世論誘導をする
・「犯人は在日だ」「中国人の仕業だ」と言い出す
・「統一教会を『反日』と捉えると間違うと言う
・「信教の自由」と混同する
・「国葬」と「葬式」を混同する
そして、これらの「思考回路がおかしい人」こそが、社会の劣化を促進させているというのだ。