【シン読解力 学力と人生を決めるもうひとつの読み方】

インフォメーション
| 題名 | シン読解力 学力と人生を決めるもうひとつの読み方 |
| 著者 | 新井 紀子 |
| 出版社 | 東洋経済新報社 |
| 出版日 | 2025年2月 |
| 価格 | 1,980円(税込) |
東ロボくんの開発責任者で、読解力を調査・研究し、受検者数50万人のRSTを開発・普及させてきた『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の著者による待望の続編!
ここで言う「読解力」とは、国語や読書の際に用いられる一般的にイメージされる読解力ではなく、「教科書を正確に読み解く力」を指す。そこで著者はこれを「シン読解力」と名づけた。
シン読解力を測るリーディングスキルテスト(RST)の受検者は50万人を超え、そのデータから様々な事実がわかってきた。
・誰もが読めるはずの教科書が読めていない子どもたちがいかに多いか。
・子どもだけでなく、実は大人も教科書や新聞が読めていない。
・シン読解力と学力には強い相関がある。
・シン読解力が低いとビジネスにも支障をきたす。
・シン読解力は学校では教えてくれない。
・シン読解力は国語や読書では身につかない。
・シン読解力はスキルであり、トレーニングによって年齢を問わず身につけることができる。
RST受検者50万人のデータを元に、
シン読解力とはなにか、教科書が読めないのはなぜかを明らかにし、
RSTの成績向上に成功した事例を紹介しながら、シン読解力習得の処方箋を示す。
引用:東洋経済STORE
ポイント
- 「シン読解力」とは、教科書や説明書など知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文章を、書かれているとおりに正確に読み解く能力を指す。
- 「シン読解力」の不足により、新聞や教科書的な文章が読めない大人が存在し、ビジネスの場や学習において支障をきたしている。
- 「シン読解力」は生まれつきのものではなく、後天的に獲得できるスキルであり、トレーニングによって伸ばすことが可能である。
サマリー
音声で聴く
「シン読解力」とは何か
著者は本書で「シン読解力」という新たな定義の読解力を提唱している。
これは一般に想像される文学作品や感情を読む「国語的読解力」とは異なる。
教科書や説明書など知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文章を、書かれているとおりに正確に読み解く能力を指す。
著者によれば、学び直しが必要な時代、つまり学校を出た後にも自学自習を続ける社会では、このシン読解力が極めて重要になる。
教科書のような「学習言語」の文章を正しく読めないと、自分で学んでいく力(自学自習力)が発揮されないからである。
RST(リーディングスキルテスト)で明らかになった事実
著者は、RST(リーディングスキルテスト)という独自のテストを開発し、50万人もの受検データを分析してきた。
このRSTのスコアと、全国学力・学習状況調査との間には強い正の相関がある。
つまり、シン読解力は単なる付加要素ではなく、学力を左右する非常に強い要因になっているのだ。
さらに驚くべきは、教科書を読めていない子どもが非常に多いという点である。
著者は、誰もが当然読めると思われる教科書でさえ、十分に理解できていない生徒が多いという実態をRSTのデータから指摘する。
また、これは子どもだけではなく、大人も同様の問題を抱えている。
新聞や教科書的な文章を読む力が不十分な社会人が多数存在し、それがビジネスや学習に支障をきたしている。
学校教育の現状
学校教育の現場では、そもそも教員自身が教科書の文章を正確に読み取れていないことがあるほか、シン読解力への理解が不足していることを著者は指摘する。
教室では先生が生徒に対して「もっとしっかり読みなさい」と指導することがある。
しかし、問題の根本は生徒の性格や熱意ではなく、読解の技術が欠けているという点にある。
また、日常会話で使う言葉(生活言語)と、教科書や学習資料で使われる専門的・形式的な言葉(学習言語)は異なっており、多くの子どもは学習言語を十分に習得できていない。
そして、その事実を学校は認識していないのである。
本書では、学校での実態分析も行われている。
義務教育段階においては、生徒のシン読解力は年齢に従ってある程度は伸びるが、高校進学のタイミングで伸びが止まる傾向があると著者は指摘する。
すなわち、高校以降はシン読解力を意図的にトレーニングしない限り、成長は見込めないということだ。
学習言語を使った指示文や教科書、説明資料を正しく理解できなければ高度な知識や思考に対応できず、学力の伸び悩みが生じることになる。
大人にとっても重要な「シン読解力」
「シン読解力」は子どもだけではなく、大人にとっても非常に重要なスキルだ。
学校を卒業した後も生涯にわたって学びを続ける必要がある現代では、自力で正確に文章を読み解くスキルが知識を深める土台となる。
また、ビジネスの場面においてはチャットやメール、資料など書かれたテキストを読み解く力が不可欠だ。
読解力が低いと、指示を誤解したり、情報の本質を読み違えたりして、会議で話が噛み合わなかったり資料を正しく理解できないといったことが起こる。
そのほか、生成AIの文章を鵜呑みにせず精査する力も、現代社会では重要な力であると著者は訴える。
AIが作るテキストには誤りや偏りがある可能性があり、それを見抜くためにはシン読解力が必要となる。
シン読解力はスキルであり鍛えられる
シン読解力は生まれつきのものではなく、トレーニングによって伸ばすことが可能である。
後天的に獲得できるスキルであり、個々の才能ではない。
著者は、学校現場や大人向けにも使える具体的なトレーニング方法を本書で紹介している。
学校や自治体での採用事例も取り上げられており、トレーニングを導入した学校では、生徒の学力が向上した報告がある。
シン読解力不足解決のために
学校教育
現在の学校教育において、シン読解力を鍛える機会は皆無である。
学力テストや成績だけを評価しても、その根底にある「読んで理解する力」が育っていなければ、本質的な学力向上は望めない。
学校は教科ごとの知識を教えるだけでなく、「読む力そのもの」を育てる場に変わる必要がある。
そのためには、教員の研修、指導案、教材構成などを見直すべきである。
企業研修
AI時代を生きる社会人にとっても、教科書的文書を正しく読み解く力は必要不可欠である。
生涯学習や社会人の学び直しの観点から、シン読解力のトレーニングは子どもだけでなく大人にも必要だ。
企業はシン読解力を育てる取り組みを積極的に導入すべきである。
シン読解力は学力だけでなく、社会人の生産性や意思疎通の向上に大きく貢献することになるだろう。
