【発達障害・グレーゾーンかもしれない人の仕事術】

インフォメーション
| 題名 | 発達障害・グレーゾーンかもしれない人の仕事術 |
| 著者 | 中村 郁 |
| 出版社 | かんき出版 |
| 出版日 | 2024年7月 |
| 価格 | 1,650円(税込) |
得意を伸ばし、不得意をリカバリーする
ADHDやASDといった発達障害を持つ人は仕事をしていく上で、さまざまな困難を抱えます。
「遅刻してしまう」「提出物の期限が守れない」「コミュニケーションがうまくとれない」「感情のコントロールかできない」「物事を順序だてて考えることができない」「必要以上に落ち込みやすい」などなど。
ほとんどの人が努力をすればすぐに改善できそうなことですが、発達障害の人にはどうしても難しい。だから、世の中のビジネス書に書かれていることをそのまま実践してもうまくいきません。そこで本書は、発達障害当事者である著者自身が見つけた、発達障害の人たちが簡単に真似できて、仕事を続けることができる再現可能なライフハックをまとめました。
実は、発達障害を持つ人は、集中力を発揮したり、記憶したりといった、ほかの人にはない得意な能力も兼ね備えていることが多いのです。環境を調整し、上手に工夫して、苦手な部分を補うことができれば、その力をいかんなく発揮し、素晴らしい成果も残せます。
発達障害を持つ人たちが、周りとトラブルを起こすことなく、ミスを少なく仕事して、ストレスがたまらず、成果を出せる方法を学びましょう。
引用:かんき出版
ポイント
- 代表的な発達障害には、ASD、ADHD、LD(SLD)がある。ASDは、対人関係やコミュニケーションが苦手で、強いこだわりを持つ特性がある。ADHDは、不注意や多動性、衝動性がみられる。LD(SLD)は、知的能力に問題はないものの、読み書きや計算など、特定の能力に困難を抱える特性である。
- 最も大切にしている考え方の一つが、「まず自分を疑う」という姿勢である。仕事では、自分が正しいと思い込まず、確認を習慣にすることが大切だ。自分を信じすぎないことは自己否定ではない。失敗を防ぎ、周囲から信頼を得るための現実的な工夫なのである。
- 発達障害には、その特性ならではの強みもある。一つの分野を徹底的に掘り下げる集中力や、人が気づかない細部に目を向ける観察力、強い探究心は、多くの仕事で大きな武器となる。大切なのは、自分の特性を理解し、それを活かせる環境を整えることなのである。
サマリー
音声で聴く
発達障害は「工夫」で強みに変えられる――自分らしく働くための仕事術
発達障害という言葉を聞くと、「自分には関係ない」と感じる人も多いかもしれない。
しかし実際には、発達障害は決して珍しいものではない。
文部科学省の調査では、小学生のおよそ10人に1人が発達障害の特性を持つとされており、診断には至らないグレーゾーンまで含めれば、その割合はさらに高くなる。
また近年では、大人になってから仕事や人間関係の悩みをきっかけに、自身の発達障害に気づく人も増えている。
本書は、発達障害を「克服すべき欠点」と捉えるのではなく、自分の特性を理解し、それに合った工夫を積み重ねることで、仕事も人生も生きやすくできることを伝える一冊である。
著者自身が発達障害と向き合いながら試行錯誤してきた経験をもとに、誰でも実践できる具体的な仕事術や生活術が数多く紹介されている。
発達障害にはさまざまな特性がある
本書では、代表的な発達障害としてASD、ADHD、LD(SLD)の特徴を整理している。
ASDは、対人関係やコミュニケーションに苦手さがあり、強いこだわりを持つことが特徴である。
相手の気持ちを読み取ることが難しかったり、「空気が読めない」と受け取られたりすることも少なくない。
一方で、自分が興味を持った分野には驚くほど深く没頭できるという強みも持っている。
また、音や光などの刺激に敏感な人も多い。
ADHDは、不注意や多動性、衝動性が特徴である。
忘れ物やミスが多い、計画を立てるのが苦手、感情をコントロールしづらいなど、仕事で困る場面も多い。
しかし、適切な環境づくりや薬による治療によって症状を軽減できる場合もある。
LD(SLD)は、知的能力には問題がないにもかかわらず、読み書きや計算など特定の能力だけに困難を抱える特性である。
本書が伝えたいのは、これらは能力の優劣ではなく「脳の特性」であり、自分を責めるよりも特性に合った工夫を考えることが大切だという点である。
自分を過信せず、「自分を疑う」ことが失敗を防ぐ
著者が最も大切にしている考え方の一つが、「まず自分を疑う」という姿勢である。
発達障害のある人は、「自分なら忘れない」「あとでやろう」と思った結果、大切な物を置き忘れたり、支払いを忘れたりすることが少なくない。
著者自身も、公共料金の支払いを忘れて部屋の電気が止まり、ろうそくで一晩過ごした経験があるという。
その失敗をきっかけに、「自分は忘れるものだ」という前提で行動するようになった。
例えば、財布やスマートフォンが見当たらなければ、「誰かが間違えた」のではなく、まず自分が置き忘れた可能性を考える。
仕事でも、自分が正しいと決めつけず、確認を習慣にする。
自分を信じすぎないことは、自己否定ではない。
失敗を防ぎ、周囲から信頼されるための現実的な工夫なのである。
道具選びも仕事術の一つ
本書では、仕事道具を工夫することの重要性も紹介されている。
著者は仕事用バッグを選ぶ際、五つの条件を設けている。
第一に、大容量であること。バッグを使い分けると荷物の移し忘れが起きるため、すべてを一つにまとめる。
第二に、中身が見やすいこと。開口部が大きく、一目で必要な物が見つかることを重視する。
第三に、整理しやすいこと。ポケットや仕切りが多く、物の定位置を決められるバッグを選ぶ。
さらに、汚れが目立ちにくく、どんな服装にも合わせやすいことも条件に挙げている。
こうした工夫によって、名刺入れを探し回ったり、バッグの中が散らかったりすることがなくなったという。
発達障害だから特別な道具が必要なのではない。
自分が失敗しやすい場面を分析し、それを防ぐ道具を選ぶことが重要なのである。
