【サピエンス全史 下: 文明の構造と人類の幸福】
インフォメーション
題名 | サピエンス全史 下: 文明の構造と人類の幸福 |
著者 | ユヴァル・ノア・ハラリ(著) / 柴田 裕之 (訳) |
出版社 | 河出書房新社 |
出版日 | 2016年9月 |
価格 | 2,090円(税込) |
近代世界は帝国主義・科学技術・資本主義のフィードバック・ループによって、爆発的に進歩した! ホモ・サピエンスの過去、現在、未来を俯瞰するかつてないスケールの大著、ついに邦訳!
引用:河出書房新社
ポイント
- アラモゴードや月へと続く歴史的過程は「科学革命」として知られている。この革命の間に、人類は科学研究に資源を投入することで、途方もない新しい力の数々を獲得した。
- 科学革命は知識の革命ではなく、むしろ無知の革命であった。科学革命の発端は、人類は最も重要な疑問の数々の答えを知らないという重大な発見だったのだ。
- 解決不可能な問題を、科学が一つ一つ解決し始めると、人類は新しい知識を獲得し応用することで、どんな問題もすべて克服できると確信を持ちだした。貧困や病気、戦争、飢餓、老齢、死さえも、人類の避けようのない運命ではなくなったのである。
サマリー
科学革命
近代科学の成立
アラモゴードや月へと続く歴史的過程は「科学革命」として知られている。
この革命の間に、人類は科学研究に資源を投入することで、途方もない新しい力の数々を獲得したのだ。
西暦1500年ごろまで世界中の人類は、医学や軍事、経済の分野で新たな力を獲得する能力が自らにあるとは思えなかった。
政府や裕福な後援者が資金を割り当てはしたものの、その目的は、新たな能力の獲得ではなく、既存の能力の維持であったのだ。
だが過去500年間に、人類は科学研究に投資することで、自らの能力を高められると信じるようになった。
これは、根拠のない思い込みではなく、経験を繰り返し立証された事実なのだ。
そうした証拠が増えるほど、裕福な人々や政府がますます多くの資源を喜んで投入した。
そのような資源がなかったら、私たちは月面を歩いたり、微生物に手を加えたり、原子を分裂させたりはできなかったであろう。
無知な人
人類は少なくとも認知革命以降は、森羅万象を理解しようとしてきた。
だが、近代科学は従来の知識の伝統とは、3つの点で大きく異なったのだ。
⑴進んで無知を認める。
近代科学は、私たちがすべてを知っているわけではないという前提に立ち、知っていると思っていることも誤りがある可能性に配慮している。
神聖不可侵ではないということだ。
⑵観察と数学の中心性
近代科学は無知を認めた上で新しい知識の獲得を目指した。
そのために、観察結果を収集し、数学的ツールを用いてそれらの観察結果を結びつけ、包括的な説にまとめあげるのだ。
⑶新しい力の獲得
近代科学は説を生み出すだけでは満足せず、新しい力の獲得、とくに新しいテクノロジーの開発を目指した。
科学革命は知識の革命ではなく、むしろ無知の革命であった。
科学革命の発端は、人類は最も重要な疑問の数々の答えを知らないという、重大な発見だったのだ。