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【スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 マクロ編】

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インフォメーション

題名 スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 マクロ編
著者 著:ティモシー・テイラーTIMOTHY TAYLOR 監訳者:池上 彰 訳:高橋 璃子
出版社 かんき出版
出版日 2013年4月
価格 1,650円(税込)

この本は、すでに出版されているミクロ編に続くものです。
まずはミクロ編を読んだうえでマクロ編に進んでほしい。
著者は、そう考えて、この順番にしています。

原著は1冊にまとまっていますが、
日本語版は、読者の便宜を考え、2冊に分けました。

ミクロ編で紹介したように、
著者のティモシー・テイラー氏は、経済学者。
アメリカ経済学会発行の雑誌の編集に長年携わってきました。
全米各地の大学で経済学の講義も担当し、
スタンフォード大学とミネソタ大学では
「学生が選ぶ講義が上手な教師」の1位を獲得しています。

経済学の基礎を知れば、世の中のしくみが見えてくる。
国民のためにどんな政策が必要かもわかってくる。
彼はこう説きます。

マクロ経済学の「マクロ」とは巨視的な見方のこと。
単にミクロ経済学を大きくしたものではなく、
経済全体を大づかみにする学問です。
個々の企業や人びとの経済活動を分析するのがミクロ経済学ですが、
そうした個々の活動の集大成の結果、
一国の経済や世界経済は、思わぬ動きをすることがあります。
それを分析するのがマクロ経済学です。

日本経済は、長いあいだデフレに苦しんできました。
デフレから脱却するため、公共事 業の拡大などの財政政策がとられてきましたが、
財政状態が悪化するばかりで、デフレ脱却に結びついていません。

これについて著者は、こう書きます。

「財政政策は痛みをやわらげるだけで、
痛みのもとを取り除くことはできないのです」

これは、日本の政治家には耳が痛いのではないでしょうか。
2012年暮れの総選挙で誕生した自民党の安倍晋三内閣は、
日本銀行のデフレ対策が十分ではなかったとして強い批判をつづけ、
総裁と副総裁を総入れ替えしました。
これにより、今後、日銀の金融政策がうまくいくのでしょうか。
本書の著者の解説を読んで、考えてみましょう。

テイラー氏は、こう言います。
「デフレによってもたらされた不況には、金融政策がうまく効かないのです」

これは、アベノミクスに対する、やんわりとした批判になっていますが、
もちろんこれは、日本でアベノミクスが打ち出される前に書かれた本です。
著者の考えは、経済学界多数派のオーソドックスな理論です。

これを読めば、アベノミクスが例のない大胆な挑戦であることがわかります。
この理論を踏まえたうえで、アベノミクスの成算をチェックしましょう。

このほか、
外国為替の変動の不思議についての解説など、具体的な例示に富んだこの本は、
これからの日本経済と世界経済を予測する力を与えてくれます。

「ある国の経済が成長したからといって、ほかの国が貧しくなるわけではない」
これが彼の主張です。
じっくり読んでみましょう。経済学の力を実感するはずです。

「監訳者まえがき」より抜粋

引用:かんき出版

ポイント

  • マクロ経済政策の4つの目標は、以下の通りだ。①経済成長②失業率の低下③インフレ率の低下④持続可能な国際収支。これらの関係性を考えるためのフレームワークが、「総需要・総供給モデル」と呼ばれるものだ。

  • 本書では、マクロ経済学の4つの目標を達成するための道具として、「財政政策」「金融政策」という2つの道具をあげている。

  • ある国の経済が成長したからといって、ほかの国が貧しくなるわけではなく、協力して商品や生産過程、技術、知識を共有していけば、すべての国がより豊かになれるのである。

サマリー

マクロ経済学の4つの目標

マクロ経済学とは、経済全体を1つの生きものとして捉える俯瞰的な見方のことで、単にミクロ経済学を大きくしたものではない。

経済成長や国際収支といった経済全体にかかわる問題は、ミクロ経済学の枠組みでは説明できないのだ。

マクロ経済政策の4つの目標は、以下の通りだ。

①経済成長

②失業率の低下

③インフレ率の低下

④持続可能な国際収支

これらの関係性を考えるためのフレームワークが、「総需要・総供給モデル」と呼ばれるものだ。

総需要・総供給モデルとは、国全体の需要を合計した「総需要」と、国全体の供給を合計した「総供給」を手がかりとして経済の動きを捉える考え方である。

このモデルを使うとマクロ経済の分析が容易になり、経済成長と失業、インフレ、国際収支のあいだで起こるトレードオフを理解しやすくなる。

本要約では、マクロ経済政策の目標の1つである「経済成長」と、関係性を考えるフレームワークとなる「総需要・総供給モデル」を中心に紹介する。

経済成長

生活水準を上げるたった1つの方法

経済成長は、年間成長率のわずかなちがいが、何十年後も先の生活水準を大きく左右する。

将来の経済の大きさは、現在の経済規模に「1+成長率」を年数分かけあわせることで求められる。

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