【問題解決力を高める「推論」の技術】

インフォメーション
題名 | 問題解決力を高める「推論」の技術 |
著者 | 羽田康祐 k_bird |
出版社 | フォレスト出版 |
出版日 | 2020年1月 |
価格 | 1,870円(税込) |
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ハイブリッドキャリアが教える答えなき時代の仮説と成果のつくり方。
「VUCA(予測不能)の時代」といわれるように、現代は「企業の行く末」はもちろん「組織の在り方」「自身のキャリア」……、それらの一寸先の未来すら読みにくい時代だ。
こうした時代には「今、目の前に見えるもの」から物事を考えるのではなく、「その背景には何があって」「どのような法則が働いて」「どのような未来になりうるのか?」を見抜く必要が生じてくる。
つまり、不確実性の高い環境変化を読み解いた上で、確実性の高い仮説と結論を生み出す「推論力」が必要になるのだ。
さらに、ビジネスの現場で直面する大小さまざまな困難に対しても有効だ。
「何かを考えなきゃいけないことは、わかってる。
でも、何をどう考えていいかがわからない」
「分析せよ、と指示されたが、浅い分析しかできない」
「伝えたいと思っていることが伝わらない」
「つい仕事が締め切りギリギリになってしまう」
「なかなか自分の提案が通らない」
「推論力」は、こうした日常的に感じる悩みや疑問についても、その問題を生じさせている原因を見抜き、解決に向けた仮説を立てて、ビジネスを前に進める原動力となる。
本書では、ビジネスを事例に「推論力」の基礎から応用を身に着けられるように徹底的に推論の技術を深堀りしている。
帰納法 演繹法 アブダクション
3つの基礎が最強の武器になる!
誰もが一度は聞いたことがある「帰納法」「演繹法」。
説明されれば、その基礎は容易に理解できるはずだ。
そしてこれらに「アブダクション」を加えた3つが、代表的な論理的推論法といわれる。
帰納法=複数の事実から共通点を発見して結論を導き出す推論法
演繹法=前提となるルールに物事を当てはめて結論を出す推論法
アブダクション=「起こった現象」に対して「法則」を当てはめ、起こった現象をうまく説明できる仮説を導き出す推論法
これを単なる学術的な知識として論理学の世界に閉じ込めておくことはもったいない。
ビジネスの現場で意識的に使うことによって、確実に成果を変えてくれる生きた技法になるのだ。
本書を最後までお読みいただき、「帰納法」「演繹法」「アブダクション」を日々の習慣にすることができれば、あなたは「推論力」という武器を手に入れ、自分に自信を持ち、新たな可能性を切り拓いていくことができるようになるはずだ。
引用:フォレスト出版
ポイント
- 未来は「未知のもの」である以上、「正解」や「不正解」という概念自体が存在せず、自らの推論力と実行力で切り拓いていける。
- 本書では「推論力」を次のように定義している。推論力=未知の事柄に対して筋道を立てて推測し、論理的に妥当な結論を導き出す力。
- 具体的な推論法の1つは、「帰納法」である。帰納法とは「複数の事実から共通点を発見して結論を導きだす推論法」のことを指す。
サマリー
「正解」から「可能性」へ
かつて筆者は「この世の中には、どこかに正解があるはず」と信じて疑わなかった時期がある。
当時思い描いていた「正解がある世界」で重要だったのは「自分が正解を知っているかどうか」であり、「正解を知らないこと」は「恥ずかしいこと」とイコールになる。
このようなメンタルモデルが回り出すと 「正解」はおのずと「探すもの」「与えられるもの」となり、問題に対する態度は受け身なものになり、主体性を失っていく。
主体性を失うということは、自分の人生を他人任せにし、自分の人生を放棄することと等しいので、自信と誇りを失ってしまうのだ。
そんな筆者に転機が訪れたのは「この世の中に、教科書や百科事典のような正解は存在しない」という当たり前の事実に気がついた時だ。
社会もビジネスもあなたも、常に未来に向けて進んでいる。
そして、未来を正確に予言できる人間など存在しない以上、この世の中には「絶対的な正解」など存在しない。
あるのは未来に向けたさまざまな可能性だけであり、その「可能性」は能動的なアクションを通して変えたり、つくったりしていけるものなのだ。
未来は「未知のもの」である以上、「正解」や「不正解」という概念自体が存在せず、自らの推論力と実行力で切り拓いていける。
ないはずの「正解」から逸脱することを恐れ、何も行動しなかった自分から、さまざまな可能性を見いだし、適切な推論を立て能動的に問題解決をしていこうとする自分に変えることができるのだ。
推論力とは何か?
本書では「推論力」を次のように定義している。
推論力=未知の事柄に対して筋道を立てて推測し、論理的に妥当な結論を導き出す力
さまざまな問題の原因を見抜くためには「なぜ問題が生じたのか?」という「見えない原因」に対する推論力が求められる。
また、仮説を考える際にも「見えない未来」に対する適切な推論が必要不可欠だ。
現在はVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexiny(複雑性)Ambiguity(曖昧性)を略して「VUCAの時代」といわれるように、「企業の行く末」はもちろん「組織のあり方」「あなた自身のキャリア」…。一寸先の未来すら読みにくい時代だ。
こうした時代には「正解」など存在せず、さまざまな「可能性」があるだけだ。
そんな時代に、より確実性の高い「可能性」を見いだすために必要な能力が「推論力」なのだ。
推論力は、情報洪水時代に希少な価値となる能力であり、長期的な競争力のある能力でもある。
推論力の具体的な方法論は、「帰納法」「演繹法」「アブダクション」であり、「頭の使い方」を工夫することで「これまでになかった物事の新たな可能性」を見いだすことができるのだ。
本要約では、推論法の1つ目である「帰納法」について紹介する。
帰納法で「法則」を手に入れる
具体的な推論法の1つは、「帰納法」である。
帰納法とは「複数の事実から共通点を発見して結論を導きだす推論法」のことを指す。
あなたがビジネスパーソンなら、ビジネス経験から学びを得て、自分の成長につなげたいと感じているはずだ。
しかし、「自分を成長させること=多くの知識を得ること」だと考えているなら、あなたの成長は限定的なものになってしまう。
さらに現代は、その「知識」が陳腐化するスピードも速い。
真に意味がある成長とは、すぐに陳腐化してしまう「知識」を得ることではなく、時代を超えて使える再現性の高い「法則」をストックしていくことだ。
法則とは「一定の条件下で、物事の間に成立する普遍的・必然的関係」を指し、推論を通して得た「法則」を数多くストックしていくことは、あなた自身の成長にとって決定的に重要になる。
そこでフル活用してほしいのが「帰納法」である。
具体例を1つあげよう。
企業のイベント担当者が、さまざまなイベント実施の経験から、次の事実に気づいたとする。
事実①:イベントAで「旅」をモチーフにしたら、集客力が高まった。
事実②:イベントBで「宇宙」をモチーフにしたら、集客力が高まった。
事実③:イベントCで「図鑑」をモチーフにしたら、集客力が高まった。
この3つの事実を「帰納法」を活用して考えると、「集客力が高まった」という3つの事実に対する「共通点」がモチーフを加えたことであると発見できる。
そして、次のような「法則」が導き出される。