【大学教授こそこそ日記】

インフォメーション
題名 | 大学教授こそこそ日記 |
著者 | 多井 学 |
出版社 | 発行 三五館シンシャ/発売 フォレスト出版 |
出版日 | 2023年12月 |
価格 | 1,430円(税込) |
「いくらでも手抜きのできる仕事」
現役教授が打ち明ける、
ちっとも優雅じゃない生活
――大学教授は儲かりますか?
「多井学」はペンネームである。
正体を隠すことで、学内外からの反発を気にせず、三十余年にわたり大学業界で見聞きしたことを思う存分、表現したかったからだ。本書に描いたのは、すべて私の実体験である。
――本書を読めば、「多井学」の正体が誰であるか、推測がつく人がいるかもしれない。学内外から多少の反発があるやもしれないが、洗いざらい書いてしまったからには、もう仕方ない
引用:フォレスト出版
ポイント
- S短大で私は、入試委員を命ぜられていたのだ。この役職は、入試問題の作成・採点(もちろん無料奉仕)のみならず、高校への営業活動を行わなければならない。
- 偏差値40程度のS短大から 60近くのT国立大学へと転職した私は、まさに、地の底から天国への階段を上ったようだった。
- 大学にとってビックイベントである大学入試。じつは5月頃には、すでに入試関連会議がスタートする。取りまとめ役委員長と副委員長は、問題を精査してミスがないよう、確認と会議とチェックを重ねながら問題を作り込んでいくのだ。
サマリー
曲がりなりにも「最高学府」
給料が安すぎて:大学バブルと無縁な世界
S短大は最初に赴任した大学である。
4月1日の入学式翌日、私はS短大での辞令交付式に緊張しながら臨んでいた。
なぜ緊張するのかというと、辞令に給与額が記載されているからである。
大学教授という職種は、給与や年収を確認したり交渉したりすることはあまりない。
私がS短大に就職したのは、バブルの余波が残る1990年4月。
世間では、証券会社に入った新入社員のボーナスが400万円ほどであったと話題になり、バブル期を生きた私は期待していた。
銀行員時代の年収600万円とまではいかなくても、450万円程はいくであろう。
だって私は、修士持ちの「専任講師」なのだから。
しかし、辞令を見てへたり込んだ。
「なんじゃ、こりゃ~」
月給18万5千円(税込み)、諸手当(交通費など)なし、ボーナスは4.5ヶ月、すべて合算すると年収約305万円である。
安い、これで本当に生きていけるのだろうか。