【当年59歳、「ご利用は計画的に」お願いします 消費者金融ずるずる日記】

インフォメーション
題名 | 当年59歳、「ご利用は計画的に」お願いします 消費者金融ずるずる日記 |
著者 | 加原井 末路 |
出版社 | 発行 三五館シンシャ/発売 フォレスト出版 |
出版日 | 2024年6月 |
価格 | 1,430円(税込) |
「お客を追い込む仕事」
サラ金社員が経験した、
貸し手と借り手のお金の修羅場
――貸した私が悪いのか?
1990年代の半ば、30歳のときに足を踏み入れ、50歳で退職するまでの20年を私はこの業界ですごし、お金にまつわる悲喜こもごもを目撃した。私が在籍した期間は、消費者金融業界が栄華を極めてから、2010年の法改正施行を経て、没落していく年月でもあった。
――本書にあるのはすべて私の実体験である。
引用:フォレスト出版
ポイント
- 消費者金融「デック」では、新入社員はまず回収業務をまかされる。延滞者リストをもとに、電話をかけて支払いを促していく。あっさりした督促では債務者は絶対に払わない。「いつまでに」「どうやって金を用意するのか」を確認し、支払いを念押しするのが、プロの督促だ。
- 延滞しているお客は「お金がない」と言うが、それは「自分の生活費、もしくは遊興費を差し引くと返済に支払うお金はない」という意味だ。そこからどう回収するか、それがわれわれの腕の見せ所である。
- 消費者金融は個人情報の宝庫。顧客情報の中に知り合いの名前を見つけてしまうこともある。相手は何も知らなくても、その人とは顔を合わせづらくなる。
サマリー
サラ金業の督促部屋
1990年代半ば、私は中学時代の先輩に誘われ、中堅の消費者金融の会社、デックに入社した。
新入社員はまず回収業務をまかされる。
延滞者リストをもとに、電話をかけて支払いを促していくのだ。
「デックの加原井と申します。田辺さん、支払い遅れてますよね」
新人だとバレてなめられてはいけないと、声を落として重々しさを演出。
「ああ、ごめんごめん。忘れてた。今週中に払うから」
「はい、よろしくお願いしますね」
なんだ、拍子抜けするくらい簡単じゃないか。
スムーズに件数をこなしていると、隣の席の先輩・竹原さんから声がかかる。
「ちゃんと履歴見ながら電話してる?さっきの債務者、約束不履行の常連だよ」
「今週中に払うって約束してくれましたけど」
「あんなあっさりした督促じゃ、債務者は絶対に払わないから」
たしかに竹原さんの電話を聞いてみると、迫力がある。
そして、「いつまでに」「どうやって金を用意するのか」を確認し、支払いを念押ししている。
これがプロの督促なのだ。