【with you】

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インフォメーション

題名with you
著者濱野 京子
出版社講談社
出版日2022年7月15日
価格704円(税込)

登場人物

・柏木悠人
 中学三年生。

・富沢朱音
 中学二年生。母が病気で家事をこなす。

あらすじ

※一部、ネタバレを含みます。

※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。

悠人と朱音の出会い

午後九時前後になると悠人は走りに外へ出る。

受験は体力というのは言い訳で、ただ家に居たくないから走りに行く。

公園の前を通ったときに、うつむき加減でブランコに座る少女を見つける。

こんな時間に危ないと思った悠人は、少女に声をかける。

少女は隣の中学校ということだけ分かった。

暗い夜の公園しか知らない悠人は、明るい時間の公園も見てみたくなった。

学校の下校途中に公園に寄ると、あの少女を見かける。

友達と笑顔で会話をする姿は、明るい女子中学生というふうで、夜とは全く別人に見えた。

しかし、夜の公園に一人でいるのをもう三度も見た悠人は、どう考えてもおかしいと思う。

いつもの時間にまた公園に向かって走った。

少女にどうしていつも公園にいるのか話しかけると、息抜きだと言う。

その日を境に、悠人の塾以外の週3回は走って公園に行き、十五分ほど朱音と並んで散歩するようになる。

朱音の秘密

デパートで買い物をしていると、地下の食品売り場で小さな女の子の手をひく朱音を見た。

朱音の家からは、もっと近いスーパーがあるはず。

重そうな買い物袋を持つ朱音に声をかける。

朱音は、人をよせつけない雰囲気をかもしだしていて、少し乱暴に妹の手をひっぱっていた。

悠人が「家の手伝いをしてるなんてえらいんだな」と言うと、「母が病気だから」と朱音にそっけなく言われる。

その日もいつものように公園へ行く。

朱音の表情からは苛立ちが感じとれた。

「手伝いなんて、してない!」と叫ぶ朱音。

「わたしは、いなくなんて、なれないんだ。わたしがいなかったら、うちが、こわれちゃうから」

主婦みたいに買い物をしているところを誰にも見られたくなかったこと。

妹もよくぐずるからいらいらすること。

おしゃれもできなければ、宿題もできないこと。

朱音のお父さんは単身赴任中で、朱音は家事の手伝いをしているわけではなく、家事をしていること。

妹が寝てから、毎日息抜きに公園へ行くこと。

一番つらいのは母なのに時間がほしいと思うこと。

朱音の母はくも膜下出血になり麻痺が残って情緒不安定なこと。

ようやく、朱音の秘密が明かされた。

学校の友達にも誰にも話せないかわりに、悠人と会える日は、十五分話を聞くことを約束する。

悠人と朱音が寄り添う

父に対して不満を漏らす朱音。

単身赴任で離れているから、母の病気のことを軽く考えているようでいらいらしていた。

後遺症や再発の可能性だってある。

朱音は一身に受け止めてきたと思うと、どれだけ辛かったのか、それでもなお、母を好きだといいきれる朱音がまぶしいと思った悠人。

自分が支えたいと思った悠人は、朱音に告白をする。

しかし、朱音の返事はいいものではなかった。

「同情して、いってるんだって、思う」

悠人は、ランニングし続けたが、朱音が公園にいることはなかった。

朱音の家の郵便受けに手紙を投じた。

手紙には、朱音の状況が少しでもよくなってほしいこと。

会わなくなって、会いたくて仕方がないこと。

朱音も会いたいと思ってくれるなら元旦の朝、初日の出を見ようという内容だった。

元旦。いつもの公園で待つと朱音がやってきた。

二人で初日の出を見る。

悠人には誰にも知られたくなかった家庭の事情を話せたこと。

会わないって自分から言ったのに、会えないのが寂しかったことを話す。

二人は約束をする。

悠人の受験が終わるまで会わないことを。

しばらく話をきくこともできずに、朱音をひとりにしてしまう。

しかしどうしても高校に受からなければいけない。

二人は受験が終わった日に再び会う約束をする。

再会

悠人の高校受験が終わる。

久しぶりの朱音との再会。

しかし、朱音は悠人に笑顔を見せるが疲れた表情を隠せていない。

朱音の母の情緒不安定がひどくなり、学校に行けない日があるそうだ。

悠人は朱音のことを、悠人の母に相談する。

悠人の母は、非常勤公務員で福祉関係の仕事をしている。

「きくことしかできない」と言う悠人に、「悠人は今、自分にできることをしている」と言う。

それは“大人に話してみること”。

朱音のように十八歳未満で、家族の世話や家事をしている子どもを“ヤングケアラー”という。

虐待や経済的な貧困問題は報道されることも多いが、ヤングケアラーのことは報道されることは少なく、認知度は低い。

本人が話したがらないケースも多く、表から見えにくいこともあって世間の関心はまだ高いとはいえない。

「その子を直接助けてあげることはできないけど、アドバイスはできるかもしれない」

ヤングケアラー

朱音と悠人の母が対面する。

朱音には教育を受ける権利がある。

学校の先生にもあまり話せていない状況に、悠人の母は「宿題をやる時間がなかったり遅刻したり怠けていると誤解されない?」と確信を突く。

「あなたを助けてくれる人がいてもいいと思う」

再び公園で会う悠人と朱音。

悠人の母のアドバイスを聞き、朱音は父に、母の普段の様子や、具合が悪いときはすごく大変だということを話した。

すると父は、朱音の担任に家庭事情を説明し、会社の人事部にも事情を説明して単身赴任から帰ってくることになった。

朱音は、悠人が合格した高校を目指す。

二人はもう夜の散歩をする必要はない。

その日は、悠人と朱音が公園で夜にあった最後の日となった。

ライターのコメント

同じ年頃の子どもを育てる母として、切なかった。

ヤングケアラーについて調べてみると、現在中学生17人に1人がヤングケアラーだという。

こんな多感な時期に、自分の気持ちを押し殺して介護をしなければいけない状況が、いかに苦しいことなのか考えるとやるせない気持ちになる。

子どもは子どもらしく。

一つずつ大人の階段を登っていける子が増えることを願ってならない。

また、本書は中学生の甘酸っぱい恋愛も描かれていて、幅広い年代の方々に読みやすいようになっている。

ただの小説と思わず、実際に日本で、世界で起きている課題。

たくさんの人に読んでいただき、この課題と真摯に向き合いたい。

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※本記事のセリフ部分については、紹介している本書より引用しています。

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