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【カケラ】

読むのに必要な時間 約 4 分

目次

インフォメーション

題名カケラ
著者湊かなえ
出版社集英社
出版日2020年5月14日
価格1,650円(税込)

登場人物

・橘久乃(たちばな ひさの)
 美容クリニックに勤める医師。彼女を訪ねて様々な人が来院する。

横網八重子 (よこあみ やえこ)
 久乃の同級生で、中学の頃は容姿いじりをされていた。

・吉良 有羽(きら ゆう)
 八重子の娘。ドーナツに囲まれて亡くなったと言われている。

あらすじ

※一部、ネタバレを含みます。

※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。

横網八重子とその娘の噂

物語は、久乃をとりまく人たちが、一人語りをすることで進んでいく。

久乃の同級生である志保は、痩せ型だった自分が太ってしまったのはその昔、自分が同級生の横網八重子の体重を「64㎏(ロック・ジュウヨン)」とバラした呪いなのではないかという。

次に久乃の元を訪れたのは女優の如月アミ。

彼女は鼻の整形をしたいと久乃の元を訪れた。

久乃と同じ中学であることから、久乃は横網八重子についての噂について尋ねる。

すると、中学の同級生である吉良有羽という少女が、母親の作った100個以上のドーナツがばらまかれた部屋で、睡眠薬を大量に飲んで亡くなっていたことを聞く。

アミによると、母親が犯人では?と噂が流れているらしい。

そして、その母親の旧姓が横網であることが判明する。

久乃の同級生・堀口の息子がアミと同級生だということで、久乃は帰省して堀口から話を聞く。

すると、堀口からは横網のその後について聞くことができた。

根暗で被害者意識が強かった横網も、成人式の時には標準体型になっており、周囲の人たちは驚いたという。

吉良有羽の行方

堀口の息子・星夜は有羽と高校まで学校が同じであり、高校の時には100キロある有羽をお姫様抱っこした。

しかしその後、有羽は高校を退学してしまった。

大学の時に、有羽を見かけ、理由を尋ねると「先生が…膝の手術があったから」と言い、走って去ってしまう。

有羽の言う「先生」というのは、高校時代の担任・柴山だった。

柴山は、有羽に痩せるよう指導し、八重子には栄養管理をするように再三言っていたことがわかった。

しかし、柴山は嫌がらせをしたかったわけではない。

自分自身が過去に失恋し、太った時の症状が有羽の太り方と似ていたため、心配してそう言っていたのだ。

しかし、有羽は退学。

東京に行ってから痩せたと耳にし、安心したと語った。

母・八重子との関係

話は一旦、有羽の母・八重子の話になる。

八重子は管理栄養士になる為、短大に進学、そこで城山萌(メグ)と仲良くなる。

そして、メグの姉でデザイナーである千佳から、「この体型だから似合う服だ」と言われ、モデルとなり、自信もついてくる。

そんな千佳が妊娠し、ドーナツを千佳からリクエストされ、嬉しくなる八重子。

しかし、程なくして千佳はガンになってしまう。

千佳がガンに侵されやせ細るなか、千佳の子・有羽は、八重子が作ったドーナツだけは食べてくれた。

千佳が亡くなった2年後、八重子は千佳の夫だった恵一と再婚する。

しかし、メグからは裏切り者として絶交されてしまう。 

場面は変わり、久乃は、有羽が痩せるためクリニックに来たときのカウンセリングの音声を八重子に聞かせる。

有羽はこのとき138キロ。

しかし、太っていて何が悪いのかと思っていた。

父親は太った有羽を見て「こんな酷い姿にして」と八重子に怒り、柴山は、勘違いをして、自分の考えを押し付けてくる。

有羽がその昔、八重子のドーナツだけを食べていたのには、理由があった。

それは、父の恵一が浮気相手と結婚するのを防ぐためだ。

しかし、柴山によって虐待されていると報告されてしまった有羽は、もう痩せるしかないと思い、脂肪吸引の相談に来たのだった。

有羽の死

久乃が有羽の死について、話を聞きまわっていたのは、自分が手術をしたせいかと思い悩んでいたからだった。

八重子はそれを否定する。

八重子には恵一を想う気持ちがあり、千佳が亡くなった時には罪悪感も持っていた。

有羽が東京へ行ってしまい、自分の殻に閉じこもるようになると、楽しかった頃を思い出すかのようにドーナツばかりを作り続けていた。

そんなある日、玄関に千佳が立っていて「来るな」と叫びながら、物を投げつけた。

しかし、死んだ千佳がそこにいるはずがない。

額から血を流しながら涙するのは有羽だった。

逃げるように家を出て行く八重子。

しかし、それが有羽を見た最後となった。

最後に、久乃は自身の講演会で「外見の美しさは一生ものではない。それはジグゾーパズルのようで、見た目は似ていても、少しずつ違うへこみやでっぱりがある。

あなたとというカケラがぴったりはまる場所は、必ずある。」と述べ、物語は終了する。

ライターのコメント

近年話題となっているルッキズムについて切り込んだ作品だと思った。

本人は満足しているのに、周りが色々と口を挟んでくる部分が多々あり、読んでいて胸が苦しかった。

最近では男性も女性も、「細い=美しい」という考えがより助長された気がする。

プラスモデルや、容姿にとらわれないおしゃれを発信するインフルエンサーなど、活躍する人も増えてきていると思うが、中高生を見ていると本当に細い子が多い。

容姿は大切だ。しかし、容姿がすべてではない。

現代社会の容姿批判について、深く考えさせられる一冊であった。

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