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【マリエ】

読むのに必要な時間 約 5 分

目次

インフォメーション

題名マリエ
著者千早 茜(ちはや あかね)
出版社文藝春秋
出版日1,870円(税込)
価格2023年08月25日

登場人物

・桐原まりえ
 アラフォー。バツイチ

・森崎
 元旦那

・観月台
 マリエの大学時代の先輩

・マキ
 ワインバーで知り合った親ほども年齢の違う、友人と呼んでいいか迷う友人

・由衣
 年下。まりえの彼氏

あらすじ

※一部、ネタバレを含みます。

※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。

嗅覚は頭よりずっと多くのことを知っている

森崎と離婚届を出しに行った帰りに、まりえはフレグランスグッズを扱う店に行く。

まりえが選んだ香水は、今朝の時間をまさに香りに変えたような、青空の下に真っ白なシーツを広げたようなイメージの香水を選んだ。

今日で終わる寂しさよりも、ひとりの清々しさを感じたのだった。

離婚の理由

「白粉の香りなんかさせちゃって」「すっきりした顔をしてるわね」とマキは言う。

どうして離婚したのか、単刀直入にまりえに尋ねた。

森崎から恋愛したいと言われたと話す。

森崎は恋愛したいという願望を、正当な権利のように言い放った。

まりえとは恋愛できないことを謝罪しなかった。

詫びることでまりえを惨めにはさせなかった。

結婚相談所

まりえと同じ日に離婚をした大学時代の先輩・尊と離婚祝いをした。

観月台も一緒にいた。

観月台は婚活をしていて、話を聞きたくて尊が誘ったのだ。

観月台の行く結婚相談所は大手でマッチングも、断るのも、コンサルタントがしてくれるから楽ではあること。

ただ、年収や年齢、子供が欲しいか、介護はできるか、具体的な条件がないと選べないという。

観月台の話を聞いた尊が、体験をしてきてくれよ、とまりえに頼んできたので、話だけ聞きに行った。

マリッジコンサルタントの間宮に「とにかく動かないとなにも始まりません」と言われる。

しかし、踏みださないとなにも起きないならそれはとても良いことなのではないかとまりえは考えていた。

平穏が約束されているということなのだから。なにか予想外なことが起きる人生よりずっといい。

年下彼氏との出会い

隣を歩く人がいる。

酔っているまりえの歩調に合わせて、男の子の髪が月のような銀色に光っていた。

いつものワインバーで、フレグランスショップの店員と会い、友人だと由衣を紹介された。

夜道を歩くまりえの後ろを、三十センチほど間を空けて付き合ってくれた。

話すことがなく気詰まりで、楽しくもないだろうに、生真面目に後ろを歩き続け、まりえのマンションまで一緒に来た。

正直、警戒する気持ちはあったけれど、見るからに歳が離れた若い男性を意識していると思われるのも恥ずかしく、まりえは「お茶でも飲んでいく?」と言ってしまった。

お腹が空いていた由衣に、一番早くできる小麦粉料理のガーダスープを作った。

レシピを知りたいというので連絡先を交換する。

数日後、ガーダスープがうまく作れないと由衣から連絡が来たので直接教える。

そのまま週末恒例の個人料理教室のようになってしまった。

一緒に生地を練り、寝かせて、成形し、火を通して、食べる。

しかし、まりえはふとした瞬間に若い男性が部屋にいる理由がよくわからなくなっていた。

友人にはいなかったタイプだけど、由衣と言葉が通じるのは嬉しかった。

仲良くなれるかもしれないと思った。

お見合い

マリエの目の前に初対面の男性が座っている。

初対面だが、学歴も職歴も家族構成も知っている。

マリッジコンサルタントがアレンジしてくれたお見合いだ。

選ぶのも申し訳なく感じたマリエは、全員と会ってみることにした。

一人目の男性は子を産む女性としてではなく、家政婦としての労働力を求めているのだと分かった。

二人目の男性は小洒落た雰囲気だったが、女性の扱いに慣れた様子が感じられた。

目的が結婚ではなさそうだった。

そんな二人を経ての三人目だったので、無口なのはそこまで悪い印象ではなかった。

しかし挨拶をしたきり黙っている。

話が膨らまず、沈黙が続く。

最後に「どうして婚活をしているのか」と質問したら「桐原さんは?」と今日初めて質問された。

進展

由衣と久しぶりに小麦粉料理を作る。

由衣に「忙しかったんですか?」と問われ、なんとなく婚活をはじめたことは言えなかった。

食べて満足したら由衣は帰る。

この関係はなんだろう。

訊いたら壊れてしまう気がする。

出会いの場で出会ったわけではない関係性は、先に進みたければ壊れるのを覚悟して確認しなくてはいけない。

雨が降りそうだったので、由衣は早めに帰った。

しかしすぐに雨が降ってきた。

反射的に折りたたみ傘を掴み、まりえは走った。

追いかけてきたまりえに、最近会えていなかったから迷惑かなと思っていたこと。

追いかけてきてくれて嬉しいことを由衣は伝える。

そのまま、まりえの家に戻った。

体の声

次の日も一日中、雨だった。

由衣は朝から晩までまりえの家にいて、ほとんどの時間をベッドで過ごした。

まりえがリモートワークの日は、由衣もパソコンを持ってやってきて、仕事の合間に抱き合った。

休みの日や平日の晩は由衣と過ごすことが増え、約束がない日はジムやマッサージに行って少しでも年齢の差を感じさせない体を作りたかった。

それでも、二回目のお見合いを申し込んでくれた三人目の男性・本田と会った。

前回のお見合いで始終無言だったのは、初対面の女性に質問することは失礼だと思っていたようだ。

三回目のお見合いは高尾山を提案され、青々とした空気にまりえの気分は弾んだ。

リフトに揺られながら上っていく。両側は山の樹で覆われているので、緑のトンネルの中を進んでいるようだ。

リフトと違い、自分の脚で歩くと荒い息を吐いていた。

本田は気にかけてくれたが、まりえはずっと自分のことばかりだった。

小さな花が咲いていたり、梢で鳥がさえずるたびに、本田は丁寧に説明してくれたが、まりえはほとんど聞いていなかった。

差し伸ばされた手も、この手は違う、と体が言っていた。

ライターのコメント

年代によっても、人によっても、結婚に対する価値観の違いを感じさせられた。

作者の描くアラフォーの気持ちがすごくリアルで引き込まれる。

自由に生きることに生きがいを感じるのに、説明はできないけどなにか足りなくて、なにか不安な気持ちがある。

そんなもどかしい気持ちが主人公自身も分かっていないから、伝えることも、年齢が邪魔して取り乱してでも伝えようとすることもできない。

けれど、年齢を重ねても、体の声は素直だと思う。

『自分にできる生き方をするしかない』

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