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【煙が目にしみる】

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目次

インフォメーション

題名煙が目にしみる
著者石川渓月
出版社光文社
出版日2011年2月25日
価格770円(税込)

登場人物

・小金欣作

 『ハッピー金融』代表取締役 通称マムシ50歳 妻子に逃げられる

・メロン

 おかまバー『メロンの城』の主人 本名は大河内虎之助 

夢子

 高校生 夏美をヤクザから助け出そうとする

・翔一

 高校生 夏美の彼氏

・夏美

 高校生 ヤクザに拉致され……

・桜子

 風紋ビルのクラブ『ミッドナイト・ドリーム』のママ ハブの元妻

・ハブ

 本名は田中亮二。小金の相棒だったが亡くなった 

・石崎健司

 『ハッピー金融』社員

・沼田

 元博多銀行行員。プロの金融家。芳崎ファイナンスの相談役

・大場政司

 芳崎ファイナンス専務。通称大政

・小林秀政

 芳崎ファイナンス幹部。通称小政

・鳥飼千登勢

 『風紋ビル』、『龍王ビル』のオーナー

あらすじ

※一部、ネタバレを含みます。

※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。

中州

福岡中洲で『ハッピー金融』を営む小金欣作は、おかまバー『メロンの城』に立ち寄り、50万円の借用書が芳崎興行から回ってきたと告げる。

「生き残った連中も芳崎に食い潰されよった」と、小金は語る。

メロンの店に桜子ママが顔を出した。桜子はハブの女房だった。

伝説のコンビ『マムシとハブ』と呼ばれ、ハブは小金と組んで、地上げまがいの土地取引から絵画骨董まで手広く勝負していたが、小金のつまらぬ行動で死んだ。

『生きてさえいりゃ、いつか何とか、なったったい』と、小金はハブの死を悔やむ。

芳崎ファイナンスの専務大場は金融部門の大政、小林は風俗部門の小政と呼ばれていた。

メロンの借用書を確認するため芳崎の事務所に顔を出す小金に、ビル買収を目論んでいた大政は警戒感を抱く。

芳崎ファイナンス内で騒ぎが起きた。原因は「ダチを返せ」と事務所に突入した少女、夢子。

捨て置けない小金は大政と渡り合い夢子を救う。

「これであんたは裸で街を歩いてるってことだ」と大政は小金を脅した。

迷走

大政の脅しは本気だった。

部下の石崎健司が怯えた声で小金に退職を伝えてきた。

ほかの貸付先にも芳崎の手が回り、『メロンの城』にも脅しや嫌がらせがあった。

肝の座ったメロンに勇気をもらった小金は、チンピラの脅しは「メモしておくたい」とメロンに暴対法をアドバイスした。

「マムシの欣ちゃんたい」と、メロンは喜んだが、小金には不安があった。

「やっとマムシがやる気になったとな。みんな期待してるばい」と、誰もがマムシ復活を喜ぶ。

情報屋『らくだ』のマスターからも「ハブの仇ばとらんで終わるとは誰も思っとらんかったばい」と小金は促された。

そんな折、芳崎の若い者が次々病院送りになった。

ボクシング部でインターハイ2位の翔一の仕業だった。

芳崎に拉致された夏美の彼氏だ。

「翔一を匿ってやって」と小金は夢子から頼まれた。

ケンカを売った小金が翔一を匿えば、破滅の道しかない。

はじめは聞き入れない翔一だったが、「こん人は芳崎の連中から一歩も引かんと、うちのことば助けてくれた人やけん」との夢子の説得に頷いた。

復活

夢子と翔一の真っすぐで青臭い気持ちが、小金の背中を押した。

大人の喧嘩を見せたるたい――逃げて言い訳ばかりから決別。

「芳崎と生き死にの勝負たい!」と小金は決意する。小金はマムシに戻った。

芳崎の弱みを捜す小金は、大政の資金流用と小政の薬物大麻栽培を知った。

小金は、風紋ビルと龍王ビルのオーナー鳥飼から「マムシを待っていた」とビル売買貸借全部の委任状を託された。

ビル買収を画策する大政の報復は始まり、鳥飼オーナーが襲われた。

ハブが本気でやろうとしていたのは芳崎潰しだったと気づいた小金は、一矢報いたいと本気になった。

夢子と翔一を桜子が預かるマンションに匿まうと、小金は『らくだ』のマスターから呼び出された。

そこには、かつて港湾工事トラブルで助けた沼田がいた。元銀行マン。

名刺に芳崎ファイナンス相談役の肩書があった。

芳崎のアキレス腱だと言い、『ナイジェリア』と書かれた手紙を寄こした沼田。

目的は「小金社長が生きているうちに恩返しを」だった。 

小切手・サックス

路上で泣きわめく少女を救ったせいで墓穴を掘った小金は、倉庫内に押し込まれ大政に叩きのめされたが、舞い戻った社員の石崎健司に救われた。

健司は以前から芳崎を調べ、『ナイジェリア』の噂も耳にしていた。

芳崎はマネーロンダリングの援助詐欺にかかり、大政は詐欺損失で全額補填に苦しみ、小政はカジノで失った組資金返済に躍起だった。

一気に叩き潰すチャンスと賭けに出る小金。

オーナーから小切手を預かり、小金は大政に交換条件を提示した。

小金が一千万円を先にもらい、三日後に大政の通帳に横線小切手五千万円が下りる段取りだった。

一方、小金は救った夏美から小政の大麻栽培情報を得て、山中で大麻栽培畑を発見する。

帰り際、畑が燻ぶる事態になり、これで大麻栽培が警察に露見すると小金は安堵した。

小政は大麻売買先に熊本藤崎会と接触したが、抗争に発展。

警察が到着間際、小政たちと熊本藤崎会はその場から消え去った。

換金当日、裏切られたと知った大政は小金を追いかけたが、事故にあいトラックに撥ねられた。

今度は沼田が小金に脅しをかけ、借りたマンションから黒鞄を持ち出すよう指示した。

だが、小政と子分が現れ、小金は黒鞄を奪い取られた。

小政たちは小金を車に乗せ組事務所へ向かったが、途中、警察パトカーに呼び止められる。

黒鞄の所有者を問われた小政は、俺のものだと答えた。

黒鞄の中からはシャブが見つかり、小政たちは逮捕された。

すべて目論見んだ沼田の計略だった。

窮地を脱したことで、小金はみんなに感謝された。

借金チャラの条件にサックスを貰い受けたいと小金は提案するが……。

それに曖昧なメロンだった。

ライターのコメント

中州を愛するマムシと呼ばれた伝説の金貸し――小金欣作。

全編、福岡弁が心地よか!と面白いヤクザ抗争撲滅ストーリーだ。

お人好しが随所にあらわれて、小金の窮地はいつも圧巻だ。

中年の悪あがきは一見ハラハラするが、妙に胸打つのは人情噺が根底にあるからか――。

桜子に気がある反面、死んだ相棒ハブに義理堅く、身を引く小金の優しさ。

芳崎ファイナンスの暴力には、ヤクザ映画の断片を観ているようで恐ろしい。

若者を助けることが小金の信条か、青臭さがマムシ復活の原動力なのか、中年ヒーローの心は燻ぶる。

謎だった沼田の存在こそ陰の立役者。敵か味方かわからないが、好感が持てる。

健司の冴えたサポートも見逃せない!

始めから終わりまでメロンの存在感はストーリーを盛り上げ、気づけば小金の良き女房役だった。

「社長についてきたとは、間違いやなかったとです」の健司の言葉は、爽やかで余韻が残る。

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