【(日本人)】

インフォメーション
題名 | (日本人) |
著者 | 橘玲 |
出版社 | 幻冬舎 |
出版日 | 2014年8月 |
価格 | 803円(税込) |
「日本人」が考える「日本人」のイメージはすべて間違っている。それはすべて西欧社会が作ったものだからだ。「日本人的なもの」とは、よくいわれる〝世間〟(ムラ社会)ではなく、〝世俗〟(神を信じずに功利的に生きる)の方にある。実は西欧人以上に日本人は、合理的な考え方を好む民族なのだ。従来の論をすべて覆した全く新しい日本人論!
引用:幻冬舎
ポイント
- 日本人の特徴は、①国のために戦う気がなく、②日本人としての誇りがなく、③権力や権威を嫌う、というものであった。
- 明治から太平洋戦争にかけての戦争の歴史を見れば、「日本人は平和を愛する国民だ」とは言いがたい。戦争に明け暮れた「戦前」と平和を愛する「戦後」は、日本人が世界でもっとも世俗的な民族であると説明できる。
- 私たち日本人に残された希望は、いまの世俗性を維持したまま、自由な自己表現のできる社会を作ることしかない。
サマリー
はじめに
「(日本人)」は「かっこにっぽんじん」と読み、「日本人」をカッコに入れてみようという意味である。
私たちのまわりには、「日本」と「日本人」が溢れていて、自分が何者で、世界がどんなところなのかを見失ってはいないだろうか。
3.11東日本大震災と福島原発事故のあと、マスメディアやインターネット上で様々な人たちが「日本」や「日本人」について論じたことが次の一行だ。
「日本の被災者は世界を感動させ、日本の政府は国民を絶望させた」
ここには二種類の全く異なる日本人がいる。
津波で肉親を失い、原発事故で故郷を奪われてもなお絆を深め、お互いに支え合いいたわり合う美しい日本人。
その一方で、責任を逃れ権利をあさり、権力にしがみつく醜い日本人。
そして誰もが美しい日本人の側に立ち、醜い日本人を糾弾するのだ。
このわかりやすすぎる構図では、なんの問題も解決しない。
本書のアイデアは単純である。
私たちは日本人である以前に人間であり、人種や国籍に関わらず共通の本性がある。
だとしたら「日本人性」とは、私たちから人間の本性を差し引いた後の、なにものかであろう。