【休養学】

インフォメーション
| 題名 | 休養学 |
| 著者 | 片野 秀樹 |
| 出版社 | 東洋経済新報社 |
| 出版日 | 2024年2月 |
| 価格 | 1,650円(税込) |
●疲れたらコーヒーを飲む
●疲れたときは寝るのが一番
●甘いもので自分にごほうび
……こんなこと、していませんか? 実は疲労を取るには全部「×」な方法です。
「いつも体が重い」
「寝ても寝てもだるく、疲れがとれない」
「会社に行くだけでヘトヘトになる」
「休みの日に何をしていいかわからない。結局、一日じゅうゴロゴロしている」
「週末に寝だめをすると、休み明けはかえってぐったりしてしまう」
……あなたはこんな悩みを抱えていませんか?
「ゆっくり休みたいのに休めない」のは、日本では「休むこと」イコール「なまけてること」という考えがしみついていることにあります。疲労は熱や痛みと同じ、体からの警告です。本来は「今日は疲れているので、休みます」と言えなくてはおかしいのです。
本書では、これまで栄養や運動に比べて軽視されてきた「疲労」と「休息」について科学的な解説を加え、
・人はなぜ疲れるのか
・疲れても無理をして休まずにいると、人間の体はどうなるのか
・どんな休み方をすれば最も効果的に疲れがとれるのか
……といった疑問に答えていきます。
さらに、休養を7種類に分類し、それらを組み合わせて、自分がもっともリフレッシュできる休み方を見つける方法も伝授します。
「日本人の約8割が疲れている」というデータもあります。ただ、世界各国と比べて平均労働時間がとくに多いわけではありません。日本人は「休み下手」なのです。
本書を読んで、単に寝る、休息するといった「守りの休養」から、「攻めの休養」へ今すぐシフトしましょう!
引用:東洋経済新報社
ポイント
- 「休むこと=寝ること」ではない。
- 多くの日本人は、休みの日数が多いわりに充分な休養が取れていない傾向にある。
- 7つの休養タイプを組み合わせて実践することで、疲労回復効果が期待できる 。
サマリー
音声で聴く
わたしたちと疲労の関係性
日本人の8割が疲れている
「あなたは今、疲れていますか」と聞かれたら、程度の大小こそあれ多くの人が「疲れ気味である」と答えるだろう。
「疲れている」というのは現代を生きるわたしたちにとって非常に身近な心身状態である。
ではそもそも、疲労とはなんだろうか。
疲労とは、「体を動かしたり、頭を使ったりすることで、本来の活動能力が下がった状態」のことである。
日本リカバリー協会が就労者10万人を対象に行った疲労に関する調査によれば、「疲れている」と答えた人は就労者の約8割に及ぶ。
「日本は他国に比べ労働時間が長いのだから、疲れているのも当然だろう」という感想をお持ちになるかもしれないが、日本の年間労働時間は1607時間である。
OECD加盟国と比較をすると、年間労働時間の世界平均は1752時間であり、平均より145時間も少ないのである。
つまり日本人は、「休みの日数が多いわりには、ちゃんと休めておらず疲れている」という状態なのだ。
わたしたちの疲れ方は昔とは大きく変わっている。
さまざまな仕事が現在のように機械化されていなかった時代では、重いものを運んだり長い距離を移動したりすることによる肉体的な疲労が中心だった。
一日中体を酷使すれば夜にはしっかりと眠ることができた。
一方で現在は頭を使う作業が中心となり、体はあまり疲れていないのに仕事が終わってからも興奮・緊張状態が長く続くようになった。
さらにコロナ禍以降は、チャットやオンラインミーティングが仕事の中心的なツールとして広く普及した。
極端な効率化が進み待ち時間や移動の手間が減った一方で、ほんの少しお茶を飲んで休憩したり、同僚と雑談しながら電車に乗ったりする時間も減ったことだろう。
このような時代には、今までのように単に体を休めたり眠ったりするだけでは疲れをとることができない。
激変する働き方に合わせて、頭の疲れをほぐしたり孤独を癒したりするような休み方を自分で工夫する必要が出てきたのである。
わたしたちはなぜ疲れるのか?
慢性疲労は様々な体の不調を引き起こす
人間は酸素を吸って生きているが、酸素を吸うことは、細胞を傷つける活性酸素を生み出す行為でもある。
傷ついた細胞を修復するにはATP(アデノシン三リン酸)という修復エネルギーが必要だ。
これはわたしたちの体を動かすガソリンのようなもので、ATPが潤沢にあれば傷ついた細胞を修復してもとの状態に戻すことができる。
しかし、体内のATPを使い切ってしまうと細胞の修復ができず、様々な悪影響が生じることとなる。そのひとつが「疲労」である。
疲労のもととなるのは5つのストレッサーだ。
①物理的ストレッサー:暑さ寒さ、騒音、混雑、振動
②科学的ストレッサー:公害、薬物、化学物質
③心理的ストレッサー:不安、緊張、怒り、悲観
④生物学的ストレッサー:細菌、感染、ダニ
⑤社会的ストレッサー:家族関係、友人関係、人間関係
ストレスがかかると、脳の視床下部がそれを感知し、その反応は「内分泌系」と「自律神経系」の2つの系に分かれる。
内分泌系では、コルチゾールというホルモンが高まることによって、テストステロンやエストロゲンなど若さや元気の素をつくるホルモンが減ってしまう。
また、内分泌系代謝作用を促すホルモンの異常が見られるようになり、糖尿病や高脂血症などの原因のひとつとなる可能性がある。
自律神経系は、疲労のシグナルが最も早期に現れる部位である。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、緊張・興奮すると優位になるのが交感神経、リラックスすると優位になるのが副交感神経である。
これらの活動のバランスが乱れることによって、目の疲れや肩こり、不安や焦燥感、頭痛や倦怠感が生じるのである。
最高の休養を取る7つの戦略
では、現代に生きるわたしたちはどのように疲労と付き合えばよいのか。
後半の100ページあまりに渡って、本書はわたしたちに「理想的な休養の取り方」を解説してくれる。
活動→疲労→休養→活力の日常サイクルを
今のわたしたちの日常は、「活動→疲労→休養」の流れを繰り返している。
仕事や育児介護などの活動をし、疲労を感じ、休養を取っているが、休養で充電が満タンに回復しないまま次の活動を開始してしまっている。
そのため活動では十分なパフォーマンスが発揮できず、疲労は蓄積していくばかりなのである。
著者はこの日常サイクルの中に、「休養」のほかにもうひとつ、疲労を打ち消す要素を加えることを提唱する。
それが「活力」である。
「活動→疲労→休養→活力」のサイクルを送ることができれば、次の活動が始まる前に十分に疲労をやわらげ活力に満ちた状態を作ることができるのである。
休養学が定義する7つの休養タイプ
では、どのように休むとより疲れが取れて活力を得られるのだろうか。
休養学では7つの休養タイプを定義する。
