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【13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海】

インフォメーション

題名 13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海
著者 田中孝幸
出版社 東洋経済新報社
出版日 2022年2月
価格 1,650円(税込)

子どもも大人も知っておきたい世界のしくみ!

「地政学」がわかれば、歴史問題の本質/ニュースの裏側/国同士のかけひき…が見えてくる!

高校生・中学生の兄妹と年齢不詳の男「カイゾク」との会話を通じて、
「地政学」が楽しくわかりやすく学べる一冊

【絶賛の声、続々!】
真山仁氏(『ハゲタカ』著者)
「大人にこそ読ませたい未来を生き抜く必読書
戦争、平和、日本の行く末を知る羅針盤がここにある!」

杉山晋輔氏(前駐米大使)
「今の日本にこそ求められている一冊!
複雑な国際情勢が物語でやさしくわかる」

引用:東洋経済新報社

ポイント

  • ディプロマットの「地球儀」を欲しそうな2人にカイゾクは提案した。「夏休みの間、7回ここにきて、わしの話を聞く。最終日にわしの出す問題にこたえられたら、この地球儀をさしあげよう」

  • カイゾクは、アメリカが超大国と言われているのは、世界の船の行き来を仕切る国であるからと伝えた。さらに、世界で一番強い国であるという理由から、世界の貿易の8割で使われる通貨がドルであることを教えた。

  • この7日間のレッスンは、カイゾクと大樹と杏の3人の「地球儀航海」である。

サマリー

カイゾクとの遭遇

本書は物語を読むことで、複雑に思える「地政学」を理解することができる構成になっている。

この物語の主な登場人物は、以下の3人だ。

大樹(だいき):県内の進学校に通う高校1年生。学校の勉強は得意で、上位の成績を収めている。

杏(あん):地元の公立中学に通う大樹の妹。中学1年生で、勉強よりもおしゃれや流行のアイドルのほうが好き。

カイゾク:近所の子どもたちにその風貌から「カイゾク」と呼ばれる年齢不詳の男。アンティークショップの店主のようだが‥‥

大樹と杏が初めてカイゾクに出会ったのは、日差しがじりじりする7月、1学期の最終日で明日から夏休みを迎える日だった。

大樹は、学校の帰り道で小さなアンティークショップのウィンドウに、ずいぶんな年代物の地球儀を見つけた。

この地球儀は、スイカくらいの大きさで、4本の木の足がついた架台はアンティーク調の暗い赤褐色のものだった。

緯度のメモリが細かくついた金色のリングのようなものがぐるりと縦についていて、地球儀に描かれた国境線は、ずいぶん今と違っているようだ。

大樹がその地球儀に見入っていると、学校帰りに通りすがった妹の杏が声をかけた。

杏は、そのアンティークショップは「カイゾク」と呼ばれる怖いおじいさんの店で有名だと、大樹に注意を促した。

ちょうどそのとき、店の中から身長190センチはあろうかという大男が出てきたのだ。

これが、大樹と杏が「カイゾク」に遭遇した瞬間だった。

7日間のレッスン

カイゾクは2人を店に招き入れ、お茶をだす。

大樹は、なぜかわからないがその地球儀に心がひかれた。

現代の地球儀と似ているようで全然違うところが面白い。

そして、地球儀で世界を見ると、地図で見るのと全然違って見えたからだ。

カイゾクは、その地球儀が「ディプロマット」という地球儀で、アメリカのホワイトハウスで歴代大統領が使っていたものと同じモデルであると伝えた。

また、その地球儀の値段は「時価」で、100万円にすることもあればタダにすることもあるというのだ。

その地球儀を欲しそうな2人にカイゾクはこう提案した。

「夏休みの間、7回ここにきて、わしの話を聞く。最終日にわしの出す問題にこたえられたら、この地球儀をさしあげよう」

テストが得意な大樹は

「それ、僕、やりたいです」

一方、杏は、

「あぁ、じゃあ私はだめだ。勉強苦手だもん。絶対無理」

と言った。

カイゾクは口元でにやりと笑いながら言う。

「そいつはどうかな?わしの話は教科書にもテレビにもでてこない。問題を解くのに必要なのは、好奇心と想像力。それだけだ」

杏もがぜんやる気になり、レッスンに参加することにした。

こうして、夏休みの7日間におよぶカイゾクのレッスンが始まったのだ。

物も情報も海を通る

世界最強の国

カイゾクとのレッスンの1日目。

カイゾクはデスクの真ん中に一本足の地球儀をどん、と置いた。

ウィンドウで飾られていたものと違い、新しそうで国名も日本語で書いてある。

カイゾクは2人に質問する。

「国から国へ物を売り買いして運ぶ時、船と飛行機のどちらが多く使われていると思う?」

考える2人に、カイゾクは、国から国への物の売り買い、つまり貿易をうまくやれるかにより、国や国民が豊かになれるかどうかが決まることを教えた。

そして、杏は「飛行機」、大樹は「船」と答えると、カイゾクは教えた。

「実は世界中の貿易の9割以上が海を渡っている。つまり船で運ばれている。特に日本は海に囲まれた島国だからその比率が高くて、99パーセントが船による貿易だ」

「日本はもちろん、スーパーに並ぶ外国産の食べ物のほとんどが船で運ばれているのは、世界どこでもあまり変わらない。別の言い方をすれば、船を使った貿易ができなくなれば、世界の経済は一瞬にして止まってしまう。では、この海ばかりの地球で一番強い国はどこかね? 」

強いと言えばアメリカと答える2人に、カイゾクは続けた。

「そうだ。そしてアメリカが超大国と言われているのは、世界の船の行き来を仕切る国であるからだ

実はアメリカは世界最強の海軍を持ち続けるために、毎年10兆円以上のお金を投じ、世界各地の海に、自分の国と遠く離れた地球の裏側まで軍艦を展開しているというのだ。

その理由の1つは、国同士のトラブルがあった際、海をおさえていれば、その国の貿易を止めて倒すことができるということだ。

さらに、世界で一番強い国であるという理由から、世界の貿易の8割で使われる通貨がドルであることを教えた。

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© 音声: VOICEVOX 青山龍星(男性)、VOICEVOX NEO(女性)
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この要約の著者

大学で日本文学を専攻。
卒業後、大手人材派遣会社で独立行政法人の就業サポート業務に従事。
育児中、ベビーマッサージインストラクター、食生活指導士等の資格を取得し、教育系メディアにてwebライターに。
2023年、サマリーオンラインに参画。累計100記事以上の要約記事を制作。
人生に新しい彩りを与える「本」とのコネクト役になれたら嬉しいです。

好きな本
『落梅集(島崎藤村/日本近代文学館)』
『ロラン=マルヴィーダ往復書簡(南大路振一訳/みすず書房)』
『好奇心を天職に変える空想教室(植松努著/サンクチュアリ出版)』

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