【論点思考】

インフォメーション
題名 | 論点思考 |
著者 | 内田和成 |
出版社 | 東洋経済新報社 |
出版日 | 2010年2月 |
価格 | 1,760円(税込) |
――正しい論点で、問題解決力が劇的に向上する!
ロングセラー『仮説思考』の著者が明かす
コンサルタントの暗黙知を解説。
ビジネスにおいて本当に大事なことは、やらないことを決めることだ。企業は数え切れないほど多くの問題を抱えていて、それらをすべて解決しようと思っても、時間もなければ人も足りない。仕事には期限がある。こなすことのできる工数も限られている。その中で解くべき問題を設定し、選択し、それに取り組み、成果をあげなければならない。成果をあげるには真の問題を選びとることが大切だ。
この真の問題を著者が25年間勤めたボストンコンサルティンググループでは「論点」と呼ぶ。そして、論点を設定するという、問題解決の最上流に当たるプロセスが「論点思考」である。論点を設定することにより、考えるべきことが絞られ、問題解決のスピードは上がり、解決策を実行したときの効果も高くなる。成果を出すには、「正しい答え」でなく、「正しい問い」「解くべき問題」=論点が重要となる。「間違った問い・問題」に取り組むことは大いなる「時間のムダ」であるという。
コンサルタントの世界では、与えられた問題の分析ができ、その問題が解決できるというだけでは、コンサルタントとして半人前。一流のコンサルタントは論点が何かを見つけだす能力に優れているのだ。そして、パートナークラスのコンサルタントであれば、他の調査・分析作業は部下に任せることがあっても、論点の設定だけは自らが徹底的に行なう。
本書はこれまでコンサルタントの頭の中にしまい込まれていて名人芸と思われていたものを、読者のわかる形に分解し、やさしく説明している。日ごろの業務の中で「上司に言われた問題に取り組んでいるが、これでいいのか」「本当の問題は別にあるのでは」と疑問を持ちながらしている人、加えて、部下に問題・課題を与える立場にある管理職の人も必読の一冊。
引用:東洋経済新報社
ポイント
- 「問題解決のプロセスはいくつもの論点候補の中から本当の論点を設定し、その論点に対するいくつかの解決策を考えだし、そこから最もよい解決策を選び、実行していくという流れで進む。つまり、論点思考は問題解決プロセスの最上級にある」
- 著者は、問題を与えられたときに、その問題が「本当に正しいか」、論点の設定は間違っていないのかという視点をもつこと、つまり、まずは与えられた問題を疑うことが重要であると指摘している。
- 「『仮説思考』では、主に問題解決をいかに効率よくかつ効果的に解くかを論じた。(中略)今回はそもそも、解いている問題そのものが間違っていたらという問題提起である。」
サマリー
論点思考は問題解決プロセスの最上流
本書は、ボストンコンサルティンググループ(BCG)における、著者のコンサルティング活動の経験から生み出された方法論を、多くのビジネスパーソンに伝えるために記された。
著者は、本書の冒頭に綴った。
「仕事で大事なことは問題を解決することであるのはいうまでもないが、それは正しい問題を解いている場合にかぎるという前提がつく。」
では、どうすれば正しい問題、あるいは解くべき問題を見つけられるのだろうか。
BCGでは、この解くべき問題(課題)のことを論点といい、その解くべき問題を定義するプロセスを「論点思考」と呼んでいる。
著者は論点志向について次のように説明している。
「問題解決のプロセスはいくつもの論点候補の中から本当の論点を設定し、その論点に対するいくつかの解決策を考えだし、そこから最もよい解決策を選び、実行していくという流れで進む。つまり、論点思考は問題解決プロセスの最上級にある」
現実の仕事には多くの問題がある。
しかし、その問題のすべてを解決することは不可能だ。
だからこそ、解くべき問題の候補を拾いだし、その中から正しく選択して問題を解き、成果をあげなければならない。
論点思考で論点設定を正しく行うと、考えるべきことが限定され、考えなくてもよいその他多くを捨てることができるのだ。
これこそが、論点志向のメリットであると著者は伝えている。
問題解決のカギを握る最上流工程
著者がコンサルタントとして、論点を設定する際に実践してきたことがある。
それは、クライアントから最初に与えられた依頼(論点)をまず疑ってみるということだ。