【不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方 ポリヴェーガル理論の第一人者が教える47のコツ】

インフォメーション
題名 | 不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方 ポリヴェーガル理論の第一人者が教える47のコツ |
著者 | 浅井咲子 |
出版社 | 大和出版 |
出版日 | 2021年2月 |
価格 | 1,650円(税込) |
米イリノイ大学神経科学博士提唱のトラウマ・ストレスケアの最新理論をベースにした、新しいストレス消去法! 「腎臓に手を当てる」「唇を震わせる」など、いつでもできる簡単ワークで、自分の中に「心地いい」が増える♪
引用:大和出版
ポイント
- 「安心」を神経の状態からの観点でいうと、「個人の主観に基づく、人との関係性や環境への信頼関係」となる。実は人が安心を得るには、神経に「安心の土台」を育む必要があるのだ。
- アメリカのイリノイ大学で精神医学名誉教授を務めるスティーブン・W・ポージェス博士は、自律神経の研究を進める中で、「つながりを育む」という哺乳類の特性に着目し、人間の副交感神経はさらに2つに分けられることに気づいた。つまり、自律神経は交感神経と2つの副交感神経の計3つということになる。
- 腎臓は腰の上のあたりに左右1つずつあり、バックスイッチの神経が通っている大事な臓器の1つである。この臓器の働きを良くすることで「休息・消化モード」が大きく育つのだ。
サマリー
安心とは
私たちは「安心できない」「安心した」などと口にするが、そもそも「安心」とは何だろうか。
「安心」を神経の状態からの観点でいうと、「個人の主観に基づく、人との関係性や環境への信頼関係」となる。
実は人が安心を得るには、神経に「安心の土台」を育む必要があるのだ。
この土台をもっているからこそ、人と楽しく話したり、必要なときに助けを求めたり、
勇気をもってチャレンジしたり、体調を健やかに整えたりできるのである。
この土台が「安心のタネ」なのだ。
ではどうすれば、この安心を手に入れることができるのか。
いずれにしても私たちは、先がどうなるか分からないから「不安」になる。
おそらくこうなるだろうという「予測性」があれば、安心できるのだ。
予想性というものは、自分の外の要素に求めてしまうと安心は手に入らない。
大事なのは、「私は大丈夫だ」という内なる要素なのである。
安心のしくみ
この内なる予測性は、自律神経の土台がしっかり整うことで生まれる。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経によって成り立っている。
・交感神経:車でいうアクセルの動き、興奮や覚醒。
・副交感神経:ブレーキの役目、リラックス。
この2つは、一日の中でシーソーのようにバランスをとりながら、絶えずどちらかが優位になることを繰り返して、私たちの心身の安全を保っている。
交感神経と副交感神経のうち、特に副交感神経について新たな発見をしたのが、アメリカのイリノイ大学で精神医学名誉教授を務めるスティーブン・W・ポージェス博士である。
博士は、自律神経の研究を進める中で、「つながりを育む」という哺乳類の特性に着目し、人間の副交感神経はさらに2つに分けられることに気づいた。
つまり、自律神経は交感神経と2つの副交感神経の計3つということになる。
この2つに分けられる副交感神経は、それぞれ「背側迷走神経」と「腹測迷走神経」と呼ばれ、「安心のタネ」を育てる上で最も重要なものだ。
背側迷走神経は主に1人でリラックスするときに、腹側迷走神経は他人と心地よく過ごすときに働く神経である。
本書では、これらを覚えやすいように、背側迷走神経を「バックスイッチ」、腹側迷走神経を「フロントスイッチ」という名称にして解説する。
3つの神経と4つのモード
まず、ピラミッドの図形を頭の中に描いていただきたい。
土台の部分に、休息と消化を司るバックスイッチと、他者と心地よくつながるフロントスイッチの2つで構成される副交感神経が並んでいる。
右側は「休息・消化モード」、左側は「つながりモード」といい、この副交感神経の部分がしっかり育っていることが理想である。
2つの副交感神経の上にあるのが交感神経だ。
交感神経は、活発な活動を始めたり、危険が察知されると働きだす。
動物で言うところの「戦う・逃げる」を行う防衛の神経で、私たちが生きていく上では必須なものになる。
例えば、満員電車で押してくる人にピリピリしたり、怒っている人が近くにいるとドキドキしたり、不安になったりするのは、交感神経が自分を守るために活発に動いているという証拠である。
ただ、こうした交感神経の働きは緊急の時以外ほどほどでよいのだが、現代は過剰に使っている人が多いと感じる。
最後に、自律神経のピラミッドで注目したい一番上の部分、実はここも副交感神経なのである。
「凍りつきモード」と呼ばれ、人は時として交感神経では対応できない、戦ったり、逃げたりすれば、逆に窮地に至るかもしれないとき、究極の保存手段として「凍りつきモード」になるのだ。
動物が外敵から命を守るために「死んだフリ」をすることがあるように、この「凍りつき」は最後に自分を守るための副交感神経の働きなのである。
この状態に入ると、生命を維持することだけを目的にして、あらゆる活動を低下させる。
つまり人が低エネルギーになると「鬱」や「引きこもり」などになってしまうということだ。
スイッチを育てる手順
この本では、フロントスイッチとバックスイッチを刺激して、「安心のタネ」の土台を育てるワークを紹介しているが、まずはバックスイッチから始める。
なぜなら、心や身体に大きなストレスや悩みを抱えている場合、心身をメンテナンスする時間が取れていないと考えられるからだ。