【これからを稼ごう】

インフォメーション
題名 | これからを稼ごう |
著者 | 堀江貴文 著 / 大石哲之 監督 |
出版社 | 徳間書店 |
出版日 | 2018年6月 |
価格 | 1,430円(税込) |
お金は変わる。そしていずれ「なくなる」ーー。
2017年、バブルを迎えた仮想通貨市場。だが、その本質は投機対象でも決済手段でも、あるいはブロックチェーンという技術革新ですらない。お金という存在の正体に皆が気づき始めたことこそが、革命なのだ。
ビットコインが目指した自由、イーサリアムがもたらす大変革、そして新しく訪れる個人と会社・国家との関係性とは。仮想通貨から学ぶ「これからの経済学」。
引用:徳間書店
ポイント
- ビットコインとは暗号技術を使った P2P(ピア・トゥ・ピア)型の電子通貨であり、仮想通貨のことである。ビットコインの特徴は、なんといっても中央集権的ではないということだ。
- お金というのは、人の共同幻想の産物であり、多くの人が、それに価値があると信じれば、それはお金になる。「お金は信用を数値化したものである」というのが、著者が説いてきたお金の定義なのだ。
- 今後は、「資本主義」から「価値主義」へと変わっていき、労働の大半をロボットが請け負う、本物のAI時代が到来する。その意味で、「会社にとって役に立たない」ことをどんどんやっていくべきだ。
サマリー
ビットコインとは
ビットコインとは暗号技術を使った P2P(ピア・トゥ・ピア)型の電子通貨であり、仮想通貨のことである。
ビットコインの特徴は、なんといっても中央集権的ではないということだ。
国家が発行する日本円や米ドルといった法的通貨は、すべて中央銀行が発行管理しているが、仮想通貨はネットワーク運営者がいるだけでシステムを維持できる。
ネットワークに参加するコンピューター同士がそれぞれ拠点となり、複雑な検算のような方法をもって、それぞれの取引が正しいかどうかの検証を行っている。
そして、その取引履歴をまとめたものがブロックと呼ばれ、そのブロックが重なるように保管されていることから、ブロックチェーンと呼ばれているのだ。
取引履歴は全世界的にオープンにされているため、それを改ざんすることは事実上、不可能となっている。
お金に対する新しい時代
仮想通貨という存在は、これまでお金を絶対視し、お金に縛られていた多くの人に、「お金というものの本質」について気づきをもたらす可能性がある。
お金というのは、人の共同幻想の産物であり、多くの人が、それに価値があると信じれば、それはお金になる。
「お金は信用を数値化したものである」というのが、著者が説いてきたお金の定義なのだ。
信用してくれる人の数が多ければ多いほど、「その人は価値のある人」ということになり、それは、人だけでなく、モノであっても同じである。
日本銀行が発行する1万円札は、日本という国がその価値を保証しているという信用があるからニーズがあり、金塊も、ゴールドに価値があると信用している人が多いから、その値打ちが生まれる。
では、仮想通貨が持つ信用力とは何か。
それは、数学的なテクノロジーによる裏付けである。
そして、そのテクノロジーによる保障は意外と強力であり、国家や誰か知らない偉い人よりも、格段に信用できるものなのだ。
誰もがグローバル経済を肌で感じることができる今の時代、一国の法定通貨の概念だけに縛られて生きていくことは得策ではない。
お金は大切なものだが、特別視する必要はないのである。
資産防衛としての仮想通貨
ビットコインに興味を持つ理由として、「自国も、自国の通貨も信用できない」という状況下で、必死に自分の財産を守りたいと願う人々が、世界にはたくさんいるからだ。
私たちは、日本円という世界的にも非常に強力とされる通貨のもとで暮らしている。
国の借金は多額であるが、幸いにして情勢は安定し、軍事クーデターが起きるリスクも少ない。
今から1年後、いきなり日本円が紙くずになる可能性は、限りなく低いであろう。
だが、世界を見渡してみれば、そんな国は珍しい部類に入る。
自国通貨を持っていても米ドルやユーロの方が価値を持つ国は数え切れないのだ。
過去7回のデフォルトを起こしているアルゼンチンのような国では、自国通貨よりも米ドルが信用されているが、米ドルよりも扱いやすい通貨の代替物として、ビットコインが使われている。
ちなみにキプロスでは、大学の授業料をビットコインで支払えるようにもなっているのだ。
銘柄思考を持つ
今後は、「資本主義」から「価値主義」へと変わっていくだろう。
クラウドファンディングやVALUのようなサービスが注目されているように、人々の働き方は、根本から変わっていくのだ。
そして、労働の大半をロボットが請け負う、本物のAI時代が到来する。
その意味で著者は、「会社にとって役に立たない」ことをどんどんやっていくべきだと主張する。
なぜなら、会社にとって役に立つことは、機械に置き換えられるからだ。
今は、役に立たないことをしている人に価値が生まれ、仕事が集中するというパラダイムシフトが起きている。
例えば、元陸上選手のウサイン・ボルトは、人類最速のスプリンターであるが、彼のしていることは社会の役に立っているのだろうか。
労働価値の視点で見れば役立たずの才能であるが、彼がフィールドを雷光のように駆け抜ける姿には、何億人もの人々が感動した。
そして、彼と彼の周辺に、巨大な資本投資がなされたのだ。
「銘柄」である。
ウサイン・ボルトという銘柄は、アスリートビジネスの世界で、お金に換えられない大きな価値を放ち続けた。
金儲けを考える時代ではない。
マーケティング、ブランディングをしっかり見すえ、自分の銘柄をいかに高く保てるかを工夫していくのだ。
君はどう生きるのか
辛いことはAIに任せて、自分の時間を生きよう。
その人がお金ではない「価値」を高められ、それが「信用」となっていくのである。
社会は今、急速に「評価経済社会」に舵をきっており、お金にはできない評価を多く集めた人が残っていく。
お金より信用稼ぎなのだ。