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【隣人の愛を知れ】

読むのに必要な時間 約 5 分

目次

インフォメーション

題名隣人の愛を知れ
著者尾形真理子
出版社幻冬舎
出版日2021年9月8日
価格781円(税込)

登場人物

美智子(みちこ)
 知歌とひかりの母。子ども食堂のボランティアをしている。

・知歌(ちか)
 美智子の長女。弁護士業務のアシスタントをしている。有名映画監督の関戸と不倫関係。

・ひかり
 夫である直人の浮気に悩んでおり、摂食障害になってしまった。

・青子(あおこ)
 長年その世界で活躍するベテラン女優。夫とのすれ違いを寂しく思っている。

・ヨウ
 青子を支えるスタイリスト。度々訪れる胸の痛みに悪い予感を感じている。

・莉里(りり)
 美智子がやっている子ども食堂に通う小学生。母親は若く美人なため、恋人が途切れない。

あらすじ

※一部、ネタバレを含みます。

※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。

①物語の始まり

美智子・知歌・ひかり

ある日、倒れてしまったひかりを助けに行った美智子はひかりが夫の浮気に悩んで痩せ細っていることを知り、実家に連れ帰る。

知歌は関戸との関係に夢中になっているものの、妹がボロボロになった姿を見てショックを受ける。

青子・ヨウ

ヨウが体調不良で仕事を休み、青子は心配する。

ヨウは乳がんを患っていた。

パートナーである淳哉にいつ打ち明けるか迷うヨウ。

青子も夫との関係に悩んでおり、頼りにしているヨウが体調不良であることも気がかりだった。

莉里

母と二人暮らしの莉里は、子ども食堂で美智子やおじさんと話すことを楽しみにしていた。

莉里には少し不思議な部分があり、病院では自閉スペクトラム症と診断されている。

莉里の特性を生かすために学校側は大学付属の中学を薦められ、通常より費用がかかることを莉里は心配に思っていた。

②物語の目的

美智子・知歌・ひかり

興信所に頼んで直人の浮気を調査することにした美智子。

すると、確かに浮気の現場を押さえたのだが、その相手は莉里の母親だった。

美智子がショックを受ける中、今度は長女の知歌の不倫が週刊誌に抜かれ、家庭内は殺伐とする。

一方、ひかりは直人から一度別れようと言われたものの、それを拒否し、直人のいるマンションへと戻っていた。

青子・ヨウ

ヨウが病と闘っている中、青子は青子で自分の夫の不倫騒動に巻き込まれていた。

夫は有名映画監督の関戸。そう、知歌が不倫していたのは青子の夫だったのだ。

関戸から「別れない、別れたくないと言ってくれ」と懇願されるも、青子の気持ちは揺るがないのだった。

③目的達成までの物語の場面

美智子・知歌・ひかり

困った美智子は、離婚はしていないものの、長い間別居状態である夫へと連絡をする。

娘たちにはずっと黙っていたが、夫である淳哉は同性愛者だった。

美智子は、淳哉が自分や娘たちを捨てて男性と一緒になったのがずっと許せなかった。

だから、離婚もしていない。

娘たちにそれを咎められたこともあったが、美智子は離婚をすることができなかった。

その後、淳哉はそれぞれの娘と会い、結婚や夫婦の話をする。

青子・ヨウ

ヨウは病状の悪化も考えて、高校卒業からずっと帰っていない実家へ向かった。

ほとんど顔を見せていないにもかかわらず、両親はヨウを迎えてくれた。

一方、青子は有名女優であったことから、世間から「夫に不倫をされた女優」としてどう振る舞うのかを期待されていた。

夫である関戸とどう向き合うべきか迷っているところにヨウのパートナーである淳哉から連絡が入り、知歌との対面が決まる。

莉里

美智子がしきりに自分の母親についての質問をすることを莉里は不思議に思っていた。

子どもである莉里はまだわかっていないが、莉里の母親がひかりの夫である直人と不倫しており、ひかりが莉里の母親に対して慰謝料請求しようとしているのを美智子は知っているからだ。

そんな中、莉里はモデルのスカウトだという怪しい男から声をかけられ、連絡先を渡してしまう。

④物語の締めくくり

美智子・知歌・ひかり

様々なことが落ち着いた頃、美智子は離婚届を手にしていた。

長年許すことのできなかった夫のパートナーが末期ガンで、彼らに残されたのが養子縁組しかないことを知り、最後くらいは二人で生きて欲しいと思ったからだ。

知歌は離婚した関戸と籍を入れることはなく、一人で子どもを育てていくことを決意した。

ひかりはと言うと、摂食障害と向き合いながら、夫である直人ともしっかりと向き合っていくことを決めた。

それぞれがそれぞれの思いを持って、新たな生活へと足を進めていくのだった。

青子・ヨウ

知歌との対面を果たした青子は、関戸がずっと自分と映画の話をしたかったのだと気づく。

知歌に元気な子どもを産んでとお願いし、青子は謝罪会見の後、関戸に別れを告げた。

ヨウはある日、摂食障害で病院を受診していたひかりとたまたま遭遇し、はじけ飛んでしまったひかりのブラウスのボタンを直してあげることになる。

スタイリストとして現場に入ることはもうできないが、こうやって針に糸を通すことがヨウは好きだと思った。

莉里

美智子は莉里の母親に接触し、不倫をやめるように咎めていた。

その時、莉里の母親は「私よりも直人と話すのが先ではないか」と言い捨て、その場を後にしていた。

莉里はそのことを知らないが、その後から直人の話は出てこない。

その後、以前会った怪しい男から連絡があったが、母に泣きながら止められ、莉里は悪いことをしたと反省する。

その後、母と一緒に作るパンケーキが莉里にとっては一番嬉しいことだと気づくのだった。

ライターのコメント

読み進めていくうちに登場人物全員がつながっていることに気づき、ハッとさせられる小説である。

本書のテーマは「結婚」や「不倫」であり、それぞれのパートナーシップの形や、抱えている思いなど考えさせられる部分がたくさんあった。

読み終わる頃には「ゆるす」ことが最大のテーマだと感じた。

結婚をしている人もしていない人も、一度は読んで欲しい。

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