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【残 照】

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目次

インフォメーション

題名残 照
著者今野敏
出版社ハルキ文庫(角川春樹事務所)
出版日2003年11月15日
価格704円(税込)

登場人物

・安積係長
 ベイエリア分署。警部補。強行犯係ハンチョウ 

・速水直樹
 ベイエリア分署。警部補。高速機動隊小隊長(スープラ)

・風間智也
 高校生。黒い亡霊と呼ばれ、黒のスカイラインGT-Rを乗りまわす一匹狼、GT-R最速伝説を持つ

・柴本耕一
 紅巾団リーダー。ガンメタリックの黒フェアレディZに乗車。乱闘で吉岡を殺害。

・吉岡和宏
 18歳。ブラックシャークのリーダー

・須田三郎
 部長刑事。強行犯係 

・榊原課長
 官僚的警察官

・村雨秋彦
 部長刑事。強行犯係 

・佐治係長
 警部。捜査一課 第五班

・相良
 警部補。捜査一課  

・池谷管理官
 警視。捜査本部主任

・西野康彦
 高校生。世田谷瀬田在住

・梶典之
 18歳。無職。町田市在住

あらすじ

※一部、ネタバレを含みます。

※本記事は要約記事ではなく、自身の言葉であらすじ及び感想を書いたものです。

カラーキング殺人事件

東京湾臨海署(ベイエリア分署)管内で遺体が発見された。

被害者は吉岡和宏、18歳。

ブラックシャークのリーダー。

現場に凶器はなく、ナイフ形状と材質をもとに、地どり捜査が始まる。

安積は、榊原課長から「交通機動隊が逃走車を追っている」と聞き『黒のスカイラインGT-R』の目撃情報を得る。

車の持ち主が風間智也と知った交機隊ヘッドの速水は、「風間が容疑者なのは本当か?」と安積に訊ねた。

速水は「札付きだが、後ろから刺すような奴じゃない」と言い切った。

『カラーキング殺人事件』の帳場が立ち、安積は速水の抜擢を懇願した。

速水は「風間は東関道や湾岸線に出る一匹狼。グループに属さずGT-R最速伝説をもつ」と池谷管理官に伝えた。

黒い亡霊

安積は速水のスープラに同乗し千葉県警の中島に会った。

中島は「風間は『黒い亡霊』と呼ばれ一度も検挙はない。後ろから刺す奴じゃない」と速水と同じコメントだった。

一方、本部内で須田が作成した報告書には「車は黒だが、GT-Rではない」と別の目撃証言があった。

安積は、目撃者二人を再聴取しようと思い立つ。

一人目の目撃者西野は高校生。警察には反抗的だが、安積の質問に「ガンメタリック黒のフェアレディZ」と答えた。

二人目の梶は18歳。ブラックシャークの乱闘相手は紅巾団。「黒っぽい色で、ガンメタのZ」と証言した。

風間の素顔

「黒のスカイラインが東関道を成田方面へ逃走」の連絡に速水は交機隊車両スープラで向かった。

高速道路一帯を巻き込み、追いつ追われつの攻防。GT-Rはつくば方面へ逃走した。

つくば山峠越えで風間は料金所突破しアクセル全開。

速水はタイミングをみて一気に抜くが、GT-Rは対向車すれすれに抜き返すと、カーブの待避帯で停まった。

車から現れた風間は、「顔と名前を知りたかった。僕は殺していない」と告げた。

重要参考人扱いの風間は、きゃしゃな印象だが余裕もあり、委縮することなく淡々としている。

捜査本部は、あくまでも風間が容疑者と決めつけ、送検には自白が欲しいと池谷管理官は言った。

しゃべらない風間に、『吉岡が倒れた先を風間が駆けていった』と紅巾団リーダー柴本耕一の証言を伝えた速水は、「誰が味方で誰が敵か、わかるはずだ」と説き伏せ、「黒のガンメタのフェアレディZ」に触れた。

表情が一変した風間は「吉岡をやった奴のガンメタZを追った。後ろから刺した奴は許せない」と口を開く。

風間のでっち上げを疑う安積に、「奴はちゃんと判断した。誰が味方か――」と速水は言った。

真犯人

速水と安積は再び、西野を問い詰めた。

ガンメタZは紅巾団の柴本耕一だった。

「あなたの供述が風間を救う」と安積は梶を説得した。

「吉岡が柴本の女をレイプしたのが乱闘のきっかけ……ガンメタZは柴本の車」と供述した。

本部の相良たちは、風間の容疑を変えなかった。

自宅に向かった捜査員から「柴本逃走」の連絡。

風間送検を唱える相良たちに、須田は「ナイフリストで柴本も調べたらどうか」と提案し、村雨は「抗争事件の前提を取っ払ったらどうか」と援護した。

柴本容疑に傾く雰囲気に、頷くしかない池谷管理官だった。

柴本が同一ナイフを購入したことが判明し、吉岡が柴本の女に手を出した件も事実と分かった。

柴本確保に方針が替わり、風間は道交法違反の取り調べに替った。

風間は「会えてよかった」と速水たちに言い残して送検された。

奴らしい精一杯の感謝の気持ちだと速水はつぶやいた。 

真実と正義

三鷹署の住宅街で路地駐車の「ガンメタZ」が発見された。

車内のルミノール反応は被害者の血痕と一致した。

柴本の手がかりをつかめない捜査本部に、速水は「別れた女を見張ったほうがいい。マル走にとって車が何より大切だ」と示唆する。

須田は「餌をまくんですね」と反応し、ガンメタZを三鷹路駐に戻し監視することを提案をした。

やがて三鷹路駐場所に現れた柴本を速水たちが挟み撃ちにし、相良が柴本に手錠をかけた。

取り調べに、柴本は落ち、送検された。

「もう黒い亡霊はあらわれない気がする」と話し、速水は原隊に戻った。

達成感と同時に一抹の寂しさを安積は感じた。

落着後、安積は速水を飲みに誘った。

見事な夕映えのなか『ゆりかもめ』駅に向かう途中、GT-Rと風間がいた。

「もう摘発されることはない。あんたたちに敬意を表している」と言う風間は「走り屋は卒業」と告げた。

「黒い亡霊は出ないのか」と訊ねる速水に「急に冷めちまってね」と風間は答え、医大を目指すと口にした。

若者の心境に戸惑う安積は、しばらく忘れていた娘のメールを思い出す。

ライターのコメント

警察が手を焼き、一度も捕まえられない伝説ヒーローの風間が容疑者に仕立て上げられた。

速水は、風間を容疑者と決めつけていた安積に、先入観は禁物だと言い、不良グループの習性や感情を説いた。

権力や警察に楯突き鬱憤を晴らす少年たちの行為に、速水の見方、考え方は自然ですばらしい。

人がどう行動するか冷静に見る速水にも、同じような時期があったのではないかと想像できる。

安積のフェアな精神、正義心に人間的味わいがみなぎり、その勇気に感動だ!

親身になって少年の思いを聞き出そうとした行為が、供述を引き出し、信頼を勝ち得た瞬間はホッとした。

スリル満点のつくば山ラリー。

白熱する速水のハンドルさばきは映像を観ているようで爽快だ。

多くを語らない速水と安積には大人の心意気を感じ、言葉に無い友情が滲み出ていた。

「二人とも警察官だ。それもとびきり優秀だが、大人になり切れないでいる」と速水の言葉は、今の大人にもピンときそうな一言だ。

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